「夏ってスマホがすぐ熱くなる気がする…」
「モバイルバッテリー、ついつい車に置きっぱなしにしちゃう」
そんなあなた、実は知らないうちに発火事故のリスクを高めているかもしれません! 最近、モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池製品が原因の事故が、特に暑い時期に増えているって知っていましたか?
「まさか自分の身に…」と思うかもしれませんが、ちょっとした不注意が取り返しのつかない事故につながることも。今回は、そんなモバイルバッテリーの危険な使い方と、今日からできる安全対策をまとめました。
なぜ夏に発火事故が増えるの?
リチウムイオン電池は、実は熱にとても弱いデリケートな存在です。製品評価技術基盤機構(NITE)のデータでも、夏場(6月〜8月)に発火事故が多発する傾向が見られます。
主な原因は、高温環境下での不適切な取り扱いです。
- 夏の車内や窓際への放置:炎天下の車内は、ダッシュボードが70度以上になることも。このような環境ではバッテリーの劣化が急速に進み、内部にガスが発生して膨張・発火する危険性が非常に高まります。
- 充電中の熱暴走:充電中に熱を持つのは普通ですが、高温の環境で充電すると、さらに熱がこもりやすくなります。布団の中や直射日光の当たる場所での充電は絶対に避けましょう。
これがサインかも? 発火の前に現れる「危険な前兆」
発火事故を未然に防ぐためには、バッテリーからの危険なサインを見逃さないことが大切です。以下の前兆に気づいたら、すぐに使用を中止し、適切な対応をしてください。
どの製品(モバイルバッテリー、スマホ、電動工具など)でも共通して見られるサインです。
- バッテリーの膨張 バッテリーが内蔵されている部分が、以前より膨らんでいる気がしませんか? これは内部でガスが発生している非常に危険な状態です。
- 充電の持ちが極端に悪くなる 「充電したばかりなのに、すぐになくなる」といった場合、バッテリーの劣化が進んでいます。劣化が進むと、発火リスクも高まります。
- 異常な発熱 充電中や使用中に、触れないほど熱くなる場合は、内部で異常が起きているサインです。
- 異音や異臭 「パチパチ」といった異音や、焦げたような甘酸っぱい異臭がする場合は、すぐに使用を中止してください。
注意したい! モバイルバッテリーの危険な使い方
モバイルバッテリーは、スマホだけでなく、ワイヤレスイヤホンや携帯ゲーム機、加熱式たばこなど、さまざまな機器の充電に使われています。持ち運びやすさから、特に以下の点に注意が必要です。
- 落としたまま使い続ける 見た目は問題なくても、内部のバッテリーが損傷している可能性があります。内部でショートが起こると、発熱や発火につながります。
- 「安いから」とメーカー不明の充電器で代用 非純正品は、過充電を防ぐための安全制御機能が不十分な場合が多く、バッテリーに大きな負担をかけてしまいます。
- 充電しっぱなしで放置 充電が終わってもコンセントに繋ぎっぱなしにしていると、過充電になり、バッテリーの劣化を早めます。東京消防庁のデータによると、リチウムイオン電池関連の火災は充電中に最も多く発生しています。
スマホや電動アシスト自転車も要注意! その他の充電式製品の危険な使い方
リチウムイオン電池は、モバイルバッテリー以外の製品にも幅広く使われています。それぞれの製品に合わせた注意点を把握しましょう。
- スマートフォン・ノートパソコン 熱がこもりやすい布団やカーペットの上で充電すると、異常な発熱につながる可能性があります。また、バッテリーが膨らみはじめたら、すぐに使用をやめてください。これは、劣化によって内部にガスがたまった非常に危険なサインです。
- 電動アシスト自転車・電動工具 これらのバッテリーは容量が大きく、発火時の被害も大きくなる傾向があります。バッテリーに強い衝撃を与えたり、異変を感じたりしたら、使用を中止し、販売店などに相談しましょう。
- ワイヤレスイヤホン・加熱式たばこ 小型で持ち運びやすいため、高温になる場所に放置しやすい製品です。夏の車内や直射日光の当たる場所に置き忘れないよう、注意が必要です。
これが安全の証! 買う前にマークをチェック!
モバイルバッテリーを購入する際は、安全性を示すマークを確認しましょう。
特に重要なのは、日本国内で販売が義務付けられているPSEマークです。モバイルバッテリーのパッケージや本体に、ひし形の中に「PSE」と書かれたマークがあるか必ずチェックしてください。
もちろん、PSEマークがあるからといって100%安全なわけではありません。大切なのは、製品選びだけでなく、普段から正しい使い方を心がけることです。
寿命はどれくらい? 買い替えのサインを見逃さないで!
モバイルバッテリーにも寿命があります。劣化が進むほど発火リスクは高まります。以下のサインが見られたら、買い替えのタイミングかもしれません。
- 充電の持ちが明らかに悪くなった
- 充電中や使用中に本体が異常に熱くなる
- バッテリーが膨らみはじめた
一般的に、モバイルバッテリーの寿命は2年〜3年程度と言われています。特にバッテリーが膨らんでいる場合は、非常に危険なので、すぐに使用を中止してください。
万が一、発火してしまった場合の対処法
絶対に避けるべきことですが、もし目の前でリチウムイオン電池が発火してしまった場合は、以下の点を冷静に実行してください。
- 水をかけない リチウムイオン電池に水をかけると、化学反応が起きて燃焼がさらに激しくなる可能性があります。
- 安全な場所に避難し、通報する 最も重要なのは、自身の安全確保です。周囲に燃えやすいものがないか確認し、すぐにその場を離れてから119番通報をしてください。無理に消火しようとせず、プロに任せましょう。
今すぐできる!モバイルバッテリー安全対策
モバイルバッテリーの事故は、少しの注意で防げます。今日から以下の点を意識してみましょう。
- 衝撃を与えない 硬い床に落としたり、無理な圧力をかけたりしない。
- 高温を避ける 夏場の車内や直射日光の当たる場所に放置しない。
- 異常を感じたら使用をやめる 「いつもと違う熱さ」「膨張している」などの異変に気づいたら、すぐに使用を中止する。
- 純正品や信頼できるメーカーの製品を使う 安価な非純正品には注意が必要。
- 正しい方法で処分する 発火の原因となるため、燃えるゴミには出さず、自治体のルールに従って適切に処分する。
FAQ(よくある質問)
Q. 飛行機にモバイルバッテリーを持ち込むときの注意点は?
A. リチウムイオン電池は、発火の危険性があるため、預け入れ荷物に入れることはできません。必ず手荷物として機内に持ち込む必要があります。また、容量や個数にも制限がある為、事前に利用する航空会社のウェブサイトで手荷物規定を確認しましょう。
Q. バッテリーが少し膨らんでいる気がするけど、まだ使える?
A. わずかな膨張でも、内部の劣化が進んでいるサインです。非常に危険な状態なので、すぐに使用をやめてください。そのまま使い続けると、発火や爆発につながる可能性があります。
Q. 使わなくなった充電式製品やバッテリーの捨て方がわからないんだけど…
A. リチウムイオン電池は発火の危険があるため、燃えるゴミには出せません。お住まいの自治体のルールに従い、家電量販店やリサイクル協力店に設置されている回収ボックスを利用するなど、適切な方法で処分してください。
リチウムイオン電池は、私たちの生活を便利にしてくれる大切なパートナーです。正しい知識を持って、安全に夏を乗り切りましょう!