史上最高値更新!「高市ショック」で株価急騰・円安加速の全貌 | マーケターのつぶやき

史上最高値更新!「高市ショック」で株価急騰・円安加速の全貌

週末の自民党総裁選挙で高市早苗氏が新総裁に選出されたことを受け、週明け6日(月)の東京金融市場は歴史的な大変動に見舞われました。この急激な市場の動きは「高市ショック」と呼ばれ、日経平均株価は史上最高値を大幅に更新し、ドル/円が約2カ月ぶりに1ドル=150円台を突破する急激な円安が進行しました。

なぜ高市新総裁の誕生がこれほど大きなインパクトを市場に与えたのか、その背景と今後の焦点について解説します。

「高市ショック」がもたらした記録的な市場変動

週明けの東京市場は、前週末の総裁選の結果を「サプライズ」として受け止め、取引開始直後から異例の急変動となりました。

日経平均株価は、前週末比で2,175円26銭高という大幅な上昇を見せ、終値は47,944円76銭で取引を終え、史上最高値を大幅に更新しました。また、取引時間中には、節目となる48,000円を一時的に上回る場面もありました。

一方、外国為替市場では、ドル/円相場が急速な円安が進行し、あっという間に心理的節目である150円台に到達し、一時1ドル=150円台を突破しました。これは約2カ月ぶりの円安水準であり、文字通りの「ショック」が市場を駆け巡りました。

過去にもあった市場の「織り込み」:高市トレードと石破ショック

高市氏の経済政策を先回りして織り込む市場の動きは、今回が初めてではありません。市場では、高市氏のような「金融緩和継続」と「積極財政」を支持する候補が優勢になると、円安・株高になる傾向があり、これは以前から「高市トレード」と呼ばれてきました。

特に、2024年の総裁選では、今回と逆の現象が起きています。

  • 「高市トレード」の発生:2024年総裁選の投開票直前、高市氏が優勢との観測から、市場は円安・株高に動きました。
  • 「石破ショック」の発生:しかし、決選投票で石破茂氏が新総裁に決定すると、市場は「高市トレード」の巻き戻しとして反応。株価が急落し、円高が進む「石破ショック」が発生しました。

今回は、市場が織り込みを進めていた「小泉氏優勢」などの報道を覆し、高市氏が勝利したことで、「高市トレード」が一気に加速する形となり、記録的な株高・円安につながりました。

市場熱狂の理由:「サナエノミクス」への期待

市場がこれほど強く反応したのは、高市新総裁の掲げる経済政策、通称「サナエノミクス」が、現状の金融政策の継続と景気対策への期待感を一気に高めたためです。

1. 金融緩和の継続観測が円安を加速させた

高市氏は、日本銀行の追加利上げに対し一貫して慎重な姿勢を示しており、「デフレではないと安心するのは早い」と発言しています。この発言から、市場で高まっていた日銀の早期利上げ観測は大きく後退。結果として、日本と海外の金利差が容易に縮まらないとの見方が強まり、金利の高いドルを買う動きが加速しました。これが、ドル/円を150円台へと押し上げた最大の要因です。

2. 積極的な財政出動への期待が株高を牽引

高市氏が掲げる「大胆な危機管理投資・成長投資」を柱とした機動的な財政出動も、株価を押し上げました。大規模な財政出動は景気浮揚につながると期待され、特に海外投資家から「アベノミクス後継者」として評価されたことで、日本株への買いが一斉に集まりました。この政策への期待感が、日経平均を史上最高値圏へと導く原動力となりました。

【今後の見通し】首相就任時に「第二のショック」は発生するか?

今回の「高市ショック」で読者が抱く大きな疑問は、「正式に首相に就任するときに、またショックは起きるのか?」という点でしょう。

結論から言えば、今回のような大規模なショックとなる可能性は低いと見られています。自民党総裁に選出された高市氏は、10月半ばに臨時国会で行われる首相指名選挙で新首相に選出される公算が極めて大きいためです。市場はすでにこの「首相就任」を前提に、株高・円安に動いており、今回の総裁選の結果が、実質的な「高市ショック」のピークである可能性が高いと言えます。

市場の次の焦点は「サプライズ人事」 首相指名後、市場の関心は「誰が首相になるか」という形式的な点ではなく、「誰が」重要な閣僚に就き、「どのような政策」が具体的に打ち出されるかという点に移ります。

焦点は為替介入の「レッドライン」と日銀の判断

今回の市場の動きで最も警戒されているのが、政府・日銀による為替介入の可能性です。

ドル/円が150円台に達したことで、過去の事例から、152円や153円といった水準が、円安を食い止めるための介入の「レッドライン」として市場で強く意識されています。新政権が円安に対してどのような姿勢を示すのか、為替当局の動向が最大の注目点となります。

また、急速な円安は輸入品の価格を押し上げ、家計を圧迫します。高市新総裁は利上げに慎重ですが、日本銀行が物価高と為替の安定をどう両立させるのか、その金融政策の判断が問われる局面となります。

今回の「高市ショック」による市場の急騰が、日本経済の力強い成長の始まりとなるのか、それとも一時的な期待感のバブルで終わるのか、新政権の経済運営手腕が試されることになります。