「代引きだから安心」そう思っていませんか?
クレジットカード情報などの入力が不要で、商品と引き換えに代金を支払える代引きは、とても便利な決済方法です。しかし今、その「安心」を逆手に取った巧妙な詐欺が急増しています。
「注文した覚えのない高額な商品が届いた」「頼んだのはブランド品なのに、中身はただのゴミだった」―。
このような被害に遭わないために、一体どうすれば良いのでしょうか。この記事では、あなたの身近に潜む「代引き詐欺」の落とし穴と、被害から身を守るための対策などについて、ご紹介します。
なぜ代引きが狙われるのか?
現金と引き換えに商品を受け取れる代引きは、クレジットカード情報などの入力が不要で手軽な反面、代金を支払った後にしか中身を確認できないという最大の弱点があります。
詐欺を働く悪質な業者は、この仕組みを悪用し、本物そっくりの偽サイトでブランド品などを安く販売します。消費者が「安くてラッキー!」と代引きで注文すると、中身はまったく別の偽物や価値のない商品なのです。
宅配業者はあくまで荷物を運ぶだけ。代金を支払った後に「中身が違う!」と訴えても、返金対応は難しいのが現状です。
実際にあった「代引き詐欺」の事例とその意図
事例1:ブランド品と偽った粗悪品が届く
SNSの広告で、有名ブランドの財布が70%オフと表示されていたため、代引きで注文しました。しかし、届いたのは明らかに偽物とわかる粗悪な財布でした。
- 詐欺の意図: 「安ければ飛びつく心理」と「代引きは安全」という誤解を狙った手口です。消費者は代金を払ってからでないと中身を確認できないため、偽物だと気づいた時にはすでに手遅れになります。詐欺グループは偽名や虚偽の住所で荷物を発送するため、一度代金を受け取れば、追跡は非常に困難です。
事例2:注文していない荷物が代引きで届く
家族が「Amazonからの荷物だと思って」と、身に覚えのない代引きの荷物を受け取ってしまいました。しかし、開封すると注文した覚えのない健康食品が入っており、高額な代金を支払ったことが後からわかりました。
- 詐欺の意図: 無差別に荷物を送りつけ、受け取ってしまった人からお金をだまし取る「送りつけ商法」です。ターゲットは過去の個人情報流出リストから選ばれていることが多く、「注文した覚えがない」と気づく前に、家族が代わりに受け取ることを狙っています。いったん受け取ってしまうと、支払いを拒否したり、返金を求めるのが難しくなります。
事例3:公式サイトを装った偽サイト
大手メーカーの公式サイトと見間違うほど精巧に作られた偽サイトから、正規の価格で商品を注文しました。支払い方法はクレジットカードを選択したはずなのに、なぜか代引きで商品が届き、開封すると偽物の商品が入っていました。
- 詐欺の意図: この手口の最大の狙いは、消費者の混乱に乗じて代金を支払わせることです。消費者は「クレジットカードで支払ったはずなのに…」と戸惑いますが、「もしかして決済が失敗したのかな?」と勘違いして、その場で代引き代金を支払ってしまいます。この時点で代金を失うだけでなく、偽サイトに入力したクレジットカード情報も盗まれているため、後日、不正利用されるリスクも抱えることになります。
これだけは知っておきたい!代引き詐欺から身を守る3つの鉄則
1. 安すぎる商品には注意!
「人気ブランドのスニーカーが半額」「最新スマホが期間限定で70%オフ」。こんなに魅力的な広告には要注意です。相場と比べて極端に安い商品は、偽物や詐欺の可能性が非常に高いです。
「お得すぎる話には裏がある」。このことを常に心に留めておきましょう。
2. サイトの情報を徹底チェック!
注文する前に、販売サイトに以下の情報が記載されているか確認しましょう。
- 会社名:企業情報が実在するか検索する。
- 住所・電話番号:きちんと連絡が取れる住所や電話番号か。
- 不自然な日本語:サイトの文章におかしい点はないか。
- 支払い方法:代引きしかない場合は特に危険信号です。
これらの情報が不明瞭なサイトは、詐欺サイトである可能性が高いため、絶対に利用しないでください。
3. 注文した荷物以外は受け取らない!
家族が代わりに受け取ってしまったり、心当たりのない「送りつけ商法」の被害に遭うことも増えています。
「身に覚えのない代引きの荷物は、絶対に受け取らない」というルールを家族と共有しましょう。
もし被害に遭ってしまったら
万が一、代引き詐欺の被害に遭ってしまった場合は、すぐに最寄りの消費生活センター(消費者ホットライン:188)に相談しましょう。支払い後の返金は困難ですが、被害の拡大を防ぐために、一刻も早い行動が重要です。
代引きは便利な支払い方法ですが、安易に利用すると大きなリスクを伴います。今一度、身近な人が被害に遭わないよう、ぜひこの記事の情報を共有してください。