先日、京王百貨店で開催されていた「第61回 元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」に足を運んできました。賑やかな会場で見つけたのが、ざるに盛られた立派な「くみあげとうふ」。
「普通の豆腐と何が違うんだろう?」と手に取ってみましたが、調べてみると実は豆腐の中でも特に大豆の風味が濃く、一度食べるとその魅力にハマってしまう人が多い一品なのだとか。
今回は、そんなくみあげとうふの魅力など、お店の方に教わった「3日間かけてじっくり味わうコツ」をご紹介します。

🥣 そもそも「くみあげとうふ」ってどんなもの?
くみあげとうふは、豆腐ができる過程の「一番美味しいところ」を抜き出したような豆腐です。
一般的な豆腐は、豆乳ににがりを加えて固めた後、型に入れて水分を絞ったり、水にさらしたりして形を整えます。一方、くみあげとうふは、にがりを加えて固まり始めたばかりのふわふわな状態を、そのままお玉などで「汲み上げた」もの。
水分を強制的に絞る工程がないため、とても柔らかく、口の中でとろけるような食感が楽しめます。
💡 「おぼろ豆腐」や「寄せ豆腐」との違いは?
調べてみると、くみあげとうふと似た名前に「おぼろ豆腐」や「寄せ豆腐」があります。結論から言うと、これらは基本的に同じ仲間と考えて大丈夫です。
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おぼろ豆腐: 固まりかけた様子が「おぼろ月」のように見えることが由来。
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寄せ豆腐: 枠に入れず、寄せ集めた状態でパックしたもの。
どれも「型に入れて圧力をかけない」「水にさらさない」という点が共通しています。特に「くみあげ」という名前で売られているものは、職人が手作業ですくい取った、より繊細な質感を大切にしている場合が多いようです。
✨ なぜ「大豆の甘み」がそんなに濃いの?
くみあげとうふが美味しい最大の理由は、「水にさらさないこと」にあります。
普通の豆腐は、形を崩れにくくするために一度水にさらしますが、その際に大豆の旨味成分や甘みも少しずつ水に溶け出してしまいます。くみあげとうふは水にさらさないため、大豆本来の濃厚な味わいがそのまま一丁の中に閉じ込められているのです。
⏳ 本来は「その日のうち」。でも3日間楽しめる理由とは?
一般的にくみあげとうふは、「買ったその日のうちに食べるのが一番」と言われています。 理由は、水にさらさない製法ゆえに鮮度が落ちやすく、大豆の香りが最も華やかに広がるのが汲みたてだからです。
しかし、今回、「第61回 元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」で買ったようなボリュームのある「ざる盛り」タイプで、かつ鮮度管理が徹底された専門店の商品などの場合は、少し事情が異なります。お店の方に伺うと、「3日ほどかけて、味の変化を楽しんでほしい」とのこと。実はこれ、贅沢な「味の熟成」を体験できる保存方法でもあるんです。
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1日目:【鮮度を味わう】 汲み上げた直後のような「ふわふわ・とろとろ」の食感。大豆のピュアな香りをダイレクトに楽しめます。
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2〜3日目:【コクを味わう】 時間が経つにつれて、お豆腐自体の重みで少しずつ水分(離水)が下に落ちていきます。すると、大豆の旨味がギュッと凝縮され、食感は「まったり」と重厚に。初日よりも甘みが強く感じられるようになります。
※注意ポイント
この「3日間の楽しみ方」は、水分が自然に抜ける「ざる盛りタイプ」や、こだわりの専門店の商品ならでは。一般的なパック詰めの商品の場合は、パッケージの期限を守り、早めに召し上がるのが安心です。
🥢 最高に美味しく食べるコツ
素材の味がしっかりしているので、まずはシンプルな食べ方から試してみてください。
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まずは「そのまま」か「塩」で 最初の一口は何もつけずに。大豆の自然な甘みが感じられます。その次は、ほんの少しのお塩をパラリ。塩気が甘みをさらに引き立ててくれます。
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温めて「温奴」に レンジや湯煎で少し温めると香りが一気に広がります。冬場はもちろん、冷房で体が冷えがちな夏にもおすすめの食べ方です。
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お好みの薬味を添えて だし醤油やポン酢はもちろん、わさびやミョウガ、おろし生姜などの香りの強い薬味を添えると、濃厚な豆腐の味に心地よいアクセントが加わります。
🛒 購入・保存のときに知っておきたいこと
くみあげとうふは非常にデリケートです。保存する際は、乾燥しないようしっかり密閉して冷蔵庫へ。
取り分けるときは清潔なスプーンなどを使い、パックの中に残ったお水(豆腐から出た旨味成分)も、ぜひ捨てずに一緒に器に移して味わってみてくださいね。
🥣 豆腐の新しい魅力を発見してみませんか?
「くみあげとうふ」は、私たちが普段何気なく食べている豆腐のイメージを、そっと覆してくれる存在です。
それは、職人が丁寧に汲み上げた一瞬の美味しさを閉じ込めた、いわば「大豆の宝石」のようなもの。最初は何もつけずにその瑞々しさを楽しみ、翌日は少し落ち着いた甘みを味わい、そして3日目には凝縮された濃厚なコクを堪能する――。そんな風に、ひとつの豆腐と向き合って「時間の経過」までを楽しむのは、なんとも贅沢で豊かな体験だと思いませんか?
京王百貨店の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」のような特別なイベントはもちろん、お近くのお豆腐屋さんやスーパーのこだわりの一角でこの名前を見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてください。
一口食べれば、きっとあなたもその「虜(とりこ)」になるはず。今日から3日間、あなただけの特別な「豆腐の物語」を始めてみませんか。

