野菜をゆでただけなのに、驚くほど甘く、食感までおいしい――。
9月3日放送の「きょうの料理」では、“伝説の家政婦”として知られるタサン志麻さんが「タサン家の野菜ボウル」を紹介しました。
タサン志麻さんのもとには、野菜の調理について「火の通し方が分からない」「ブロッコリーをおいしくゆでられない」「子どもが野菜を食べてくれない」といった質問が多く寄せられていたそうです。
そこで今回の「火入れレッスン~野菜編~」では、野菜のおいしさを引き出す加熱方法を紹介。その実践レシピとして登場したのが、カリフラワーやブロッコリー、にんじんなどをたっぷり盛りつけた「タサン家の野菜ボウル」です。
特別な調味料で味を加えるのではなく、野菜を1種類ずつ丁寧にゆで、それぞれの甘みや香り、食感を引き出すのがポイント。普段何気なく行っている野菜の切り方やゆで方を見直すきっかけにもなる一品です。
番組では、野菜ボウルと一緒に楽しめる料理として「鶏むね肉のマスタードソース」も紹介されました。鶏肉だけでなく、マスタードソースをゆで野菜につけてもおいしく味わえます。
この記事では、タサン家の野菜ボウルの材料と作り方に加え、均一に火を通す切り方、野菜をおいしくゆでる3つのポイント、鶏むね肉のマスタードソースとの組み合わせ方を紹介します。
※Eテレでの本放送は9月2日、総合での再放送は9月3日です。
- 🥕 タサン家の野菜ボウルの材料
- 🔪 野菜の下ごしらえ
- 🔪 おいしさと見栄えを左右する野菜の切り方
- 🍲 タサン家の野菜ボウルの作り方
- 🔥 野菜をおいしくゆでる3つのポイント
- ♨️ 中途半端に加熱せず、短時間で火を通す
- 🥬 色の薄い野菜から順番にゆでる理由
- 💧 水に落とさない「陸上げ」で水っぽさを防ぐ
- 🧂 塩を使わず野菜本来のおいしさを楽しむ
- 🍗 鶏むね肉のマスタードソースと一緒に楽しむ
- 🛒 鶏むね肉のマスタードソースの材料
- 🍳 鶏むね肉のマスタードソースの作り方
- 🥦 マスタードソースは野菜につけてもおいしい
- 👧 子どもが野菜を食べないときは?
- ❓ タサン家の野菜ボウルに関するQ&A
- 🌈 野菜と鶏肉を組み合わせて満足感のある一皿に
🥕 タサン家の野菜ボウルの材料
作りやすい分量です。
- カリフラワー:1個
- ブロッコリー:1個
- にんじん:3本
- かぶ:3個
- さやいんげん:2パック(200g)
にんじんは、できるだけ細めのものを選びます。輪切りにしたときの大きさがそろいやすく、火の通りも均一になります。
🔪 野菜の下ごしらえ
カリフラワー・ブロッコリー
小房に分けてから、それぞれ縦半分に切ります。
硬い部分を取り除いた茎や、葉の柔らかい部分も捨てずに取っておきましょう。一緒にゆでて味わえます。
にんじん
2cmほどの厚さの輪切りにします。
かぶ
6等分のくし形に切ります。
さやいんげん
ヘタを取り除きます。
🔪 おいしさと見栄えを左右する野菜の切り方
野菜の切り方は、料理の見た目だけでなく、火の通り方にも影響します。
タサン家の野菜ボウルでは、異なる種類の野菜はそれぞれ形を変えて切り、同じ種類の野菜は大きさをできるだけそろえるのがポイントです。
野菜ごとに切り方を変えて盛りつけに動きを出す
カリフラワーとブロッコリーは小房、にんじんは輪切り、かぶはくし形にします。
野菜ごとに異なる形に切ることで、器に盛ったときに動きが生まれます。
味つけをしないシンプルな料理だからこそ、野菜の色だけでなく形の違いも生かすことで、見た目にも華やかな一皿に仕上がります。
同じ種類の野菜は大きさをそろえる
異なる野菜は切り方を変える一方で、同じ種類の野菜は、できるだけ大きさをそろえます。
同じ野菜でも大きさがバラバラだと、小さいものだけが柔らかくなり、大きいものには十分に火が通っていないという状態になりかねません。
大きさや厚さをそろえておくと、ゆで上がりの目安を判断しやすくなり、食感のばらつきも抑えられます。
にんじんは厚さをそろえて輪切りにする
にんじんは、2cmほどの厚さにそろえて輪切りにします。
にんじんは根元側が太く、先端に向かうほど細くなっているため、輪切りにしても直径に差が出ます。そのため、今回のレシピでは細めのにんじんを選ぶのがおすすめです。
細めのにんじんを選び、輪切りの厚さもそろえることで、大きい部分と小さい部分の差を抑え、全体に均一に火を通しやすくなります。
🍲 タサン家の野菜ボウルの作り方
1.大きめの鍋で湯を沸かす
大きめの鍋にたっぷりの湯を入れ、強火にかけます。
湯がボコボコとしっかり沸騰するまで待ちましょう。
2.カリフラワーをゆでる
沸騰した湯にカリフラワーを入れます。
野菜を加えると湯の温度が下がるため、まずは強火のまま素早く再沸騰させます。再び沸いたら少し火を弱め、小さな泡がポコポコと出る状態を保ちましょう。
約1分間ゆでたら、網じゃくしですくってざるに上げます。湯に浮いたアクも取り除いてください。
3.残りの野菜を1種類ずつゆでる
同じ湯を使い、次の順番で1種類ずつゆでていきます。
- かぶ
- さやいんげん
- ブロッコリー
- にんじん
それぞれ好みの食感になるまでゆで、網じゃくしですくってざるに上げます。
4.野菜を器に盛る
ゆで上がった野菜を器に盛りつけたら完成です。
にんじんの太い部分など、大きく重量のある野菜を器の底に置きます。ブロッコリーの葉など小さなものは外側に配置し、中央を高くすると、立体感のある華やかな野菜ボウルに仕上がります。
🔥 野菜をおいしくゆでる3つのポイント
今回の放送でタサン志麻さんが伝えていたのは、野菜ボウルの作り方だけではありません。
野菜の甘みや食感を引き出すために、次の3つのポイントを意識することが大切です。
1.たっぷりの湯でゆでる
湯の量が少ないと、野菜を入れたときに温度が大きく下がり、再沸騰までに時間がかかります。
大きめの鍋にたっぷりの湯を用意し、しっかり沸騰させてから野菜を入れることで、短時間で火を通しやすくなります。
2.野菜は1種類ずつゆでる
野菜によって、火の通りやすさや、おいしいと感じる食感は異なります。
数種類をまとめて入れると湯の温度が下がるだけでなく、硬さにもムラができてしまいます。1種類ずつゆでれば、それぞれの野菜に合わせて加熱時間を調整できます。
3.ゆで上がった野菜を水に落とさない
ゆでた野菜は冷水に入れず、ざるに上げて水気をきります。
水に落とすと野菜が水分を吸い、水っぽくなってしまうためです。冷水で急冷せずに「陸上げ」することで、野菜本来の味を保ちながら、余熱でも火を通せます。
この3つを押さえるだけでも、いつものゆで野菜の味や食感が変わります。タサン家の野菜ボウルだけでなく、普段の温野菜や付け合わせにも応用できる火入れの基本です。
♨️ 中途半端に加熱せず、短時間で火を通す
野菜は中途半端に火が入ると、青臭さや苦みを感じやすくなることがあります。
歯ごたえや風味を残したい場合は短時間でサッと加熱し、柔らかく仕上げたい場合はじっくり火を通すのが基本です。
今回の野菜ボウルでは、沸騰した湯でサッとゆでることで、それぞれの野菜が持つ食感や香りを残しています。
何分ゆでるかだけで判断するのではなく、実際に食べてみて、自分や家族が好きな火の通り具合を見つけることも大切です。
🥬 色の薄い野菜から順番にゆでる理由
カリフラワーやかぶなどの色が薄い野菜から先にゆでると、湯の色や香りの影響を受けにくくなります。
色やアクが出やすい野菜を後にすることで、同じ湯を比較的きれいな状態で使い続けられます。
カリフラワー、かぶ、さやいんげん、ブロッコリー、にんじんという順番は、野菜の色やアクまで考えられた並びになっています。
💧 水に落とさない「陸上げ」で水っぽさを防ぐ
ゆで上がった野菜は冷水に入れず、そのままざるに上げます。この方法は「陸上げ」と呼ばれます。
冷水に落とすと、野菜が水分を吸い、水っぽくなることがあります。ざるに上げて自然に冷ますことで、野菜の味が薄まりにくく、余熱も利用して火を通せます。
ただし、ざるの中で野菜を重ねすぎると余熱が入り続けてしまいます。できるだけ重ならないように広げて置くと、食感を保ちやすくなります。
🧂 塩を使わず野菜本来のおいしさを楽しむ
一般的に野菜をゆでる際は塩を入れることがありますが、今回の野菜ボウルでは塩を使いません。
味つけでおいしくするのではなく、適切な火入れによって野菜本来の甘みや香りを引き出すのが、このレシピの魅力です。
まずは何もつけずに食べ、それぞれの野菜が持つ味や食感の違いを確かめてみるのもよいでしょう。
🍗 鶏むね肉のマスタードソースと一緒に楽しむ
番組では詳しい調理工程の実演はありませんでしたが、タサン家の野菜ボウルと一緒に楽しめる料理として「鶏むね肉のマスタードソース」も紹介されました。
皮をこんがり焼いた鶏むね肉に、生クリームと粒マスタードを合わせたソースをかける一品です。
野菜ボウルだけでは軽いと感じるときも、鶏むね肉を添えることで、野菜とたんぱく質を一緒に取れる満足感のある献立になります。
🛒 鶏むね肉のマスタードソースの材料
作りやすい分量です。
- 鶏むね肉:2枚(500g)
- 白ワイン:カップ1/2
- 生クリーム:カップ1/4
- 粒マスタード:大さじ1~2
- オリーブ油:大さじ1
- 塩:適量
- こしょう:適量
オリーブ油は、サラダ油やバターでも代用できます。
🍳 鶏むね肉のマスタードソースの作り方
番組では詳しい調理工程の実演はありませんでしたが、レシピでは鶏むね肉をしっとり仕上げ、焼いたときに出たうまみを余さずソースに生かします。
1.鶏むね肉に下味をつける
鶏むね肉に、塩小さじ1とこしょう適量をしっかりすり込みます。
塩は、鶏肉の重さに対して約1%が目安です。今回は鶏むね肉が500gなので、塩小さじ1程度になります。
鶏皮は縮んだままにせず、しっかり広げ、できるだけ鶏肉の表面全体を覆うように整えましょう。
皮を広げて均一に焼くことで、皮の脂をしっかり落としながら、鶏肉を乾燥から守りやすくなります。
2.皮側からじっくり焼く
フライパンにオリーブ油大さじ1を入れ、鶏肉の皮側を下にして並べてから中火にかけます。
そのまま20~30分間、鶏肉を動かさずにじっくり焼きましょう。
途中で何度も動かすと、皮に均一な焼き色がつきにくくなります。皮から出た脂で揚げ焼きするようなイメージで、香ばしく焼き上げるのがポイントです。
3.火の通りを確認して裏返す
鶏肉を横から見て、厚みの8割ほどまで白くなり、火が通ってきたら上下を返します。
皮側から時間をかけて加熱しているため、身側はサッと焼くだけで十分です。
鶏むね肉は加熱しすぎると水分が抜けて硬くなりやすいので、身側を長く焼かないように注意しましょう。
4.アルミ箔をかけて鶏肉を休ませる
ボウルの上にざるを重ね、焼いた鶏肉をのせます。アルミ箔をふんわりとかけ、そのまま休ませてください。
焼き上がってすぐに切ると、肉汁が流れ出しやすくなります。少し休ませることで肉汁が落ち着き、しっとりとした仕上がりになります。
ボウルに落ちた肉汁は、後でソースに加えるため、捨てずに取っておきましょう。
5.フライパンから余分な脂だけを取り除く
鶏肉を焼いたフライパンを傾け、たまった余分な脂を紙タオルなどで吸い取ります。
このとき、フライパンの底に焼きついた部分まできれいに拭き取らないようにしましょう。茶色く焼きついた部分には、鶏肉のうまみが詰まっています。
臭みにつながりやすい余分な脂は取り除き、うまみの部分はソースに生かすのがポイントです。
6.白ワインでフライパンのうまみを溶かす
フライパンを中火にかけて温め、白ワインカップ1/2と塩ひとつまみを加えます。
木べらなどでフライパンの底をこそげ、焼きついた鶏肉のうまみを白ワインに溶かし込みましょう。
白ワインが約3分の1量になるまで、しっかり煮詰めます。
生クリームを加えると味がまろやかになるため、その前に白ワインが十分に煮詰まっているか、味を確かめることが大切です。
7.生クリームと粒マスタードを加える
白ワインが煮詰まったら、生クリームカップ1/4と粒マスタード大さじ1~2を加えてなじませます。
味をみて薄い場合は、塩、こしょう各適量で調え、軽く煮詰めてください。
粒マスタードは、大さじ1なら比較的まろやかに、大さじ2なら酸味と風味をしっかり感じる味わいになります。好みに合わせて調整しましょう。
8.鶏肉から出た肉汁をソースに戻す
休ませた鶏肉から出てボウルにたまった肉汁を、フライパンのソースに加えて混ぜます。
肉汁を戻すことで鶏肉のうまみを逃さず、ソースに一体感が生まれます。
鶏肉を食べやすい厚さに切って器に盛り、温かいマスタードソースをかけたら完成です。
🥦 マスタードソースは野菜につけてもおいしい
生クリームのコクと粒マスタードの酸味を生かしたソースは、鶏むね肉だけでなく、シンプルにゆでた野菜ともよく合います。
カリフラワーやブロッコリーの房にはソースがよくからみ、にんじんやかぶの甘みも引き立ててくれます。
まずは何もつけずに野菜本来の味を確かめ、その後にマスタードソースをつけると、味わいの変化も楽しめます。
野菜ボウルと鶏むね肉を別々の料理として盛りつけるだけでなく、大皿に一緒に盛ってソースを添えれば、家族で取り分けられるメイン料理にもなります。
👧 子どもが野菜を食べないときは?
タサン家では、苦手な野菜でも「一口は食べてみる」というルールにしているそうです。
食べた後は単に「嫌い」で終わらせず、何が苦手だったのか、どのような調理法なら食べられそうなのかを聞きます。
同じ野菜でも、ゆで時間や切り方、調理方法によって、味や食感は大きく変わります。
サッとゆでた食感が苦手なら柔らかく煮るなど、いろいろな調理方法を試しながら、その子が食べられる形を一緒に探していくことが大切です。
「この方法なら食べられる」という経験が見つかれば、子どもの自信にもつながります。
❓ タサン家の野菜ボウルに関するQ&A
野菜をまとめてゆでてもよいですか?
野菜ごとに火の通り方が異なるため、1種類ずつゆでるのがおすすめです。湯の温度が下がりにくく、それぞれに合った食感に仕上げられます。
ゆでた野菜を冷水にとってもよいですか?
今回のレシピでは冷水にとらず、ざるに上げます。水っぽくなるのを防ぎ、余熱も利用して火を通します。
ブロッコリーの茎や葉も食べられますか?
硬い部分を切り落とせば、茎や柔らかい葉も食べられます。捨てずに小房と一緒にゆでることで、野菜を無駄なく味わえます。
ブロッコリーはどのくらいゆでればよいですか?
ブロッコリーは、ゆで時間が短くても食べられる野菜です。長くゆですぎると柔らかくなり、食感や香りが失われやすいため、まずは短めにゆでて状態を確認しましょう。
茎などの硬い部分を短めに切り、大きさをそろえておくと、火の通りを判断しやすくなります。
好きな野菜に変更してもよいですか?
季節や好みに合わせて変更できます。ただし、野菜ごとに火の通り方が異なるため、まとめて入れず、1種類ずつ状態を確かめながらゆでましょう。
野菜に味つけは必要ですか?
今回の野菜ボウルは、塩を使わず、火入れによって引き出された野菜本来の味を楽しむ料理です。
そのまま食べた後に、鶏むね肉のマスタードソースをつけて、味の変化を楽しむのもおすすめです。
🌈 野菜と鶏肉を組み合わせて満足感のある一皿に
タサン家の野菜ボウルは、特別な調味料を使わず、切り方と火入れによって野菜本来のおいしさを引き出す料理です。
同じ種類の野菜は大きさをそろえて火の通りを均一にし、異なる種類の野菜は切り方を変えることで、盛りつけに動きを生み出します。
ゆでるときのポイントは、たっぷりの湯を使うこと、野菜を1種類ずつゆでること、ゆでた野菜を水に落とさないことの3つです。
そのままでも野菜の甘みや食感を楽しめますが、鶏むね肉のマスタードソースと組み合わせれば、コクと酸味が加わり、食べ応えのある献立になります。
鶏むね肉は皮側からじっくり火を入れ、身側を焼きすぎないことで、香ばしさとしっとりした食感を両立できます。焼いたときのうまみや肉汁をソースへ戻すため、淡泊な鶏むね肉でも満足感のある味わいです。
いつもの温野菜が水っぽい、硬さがそろわない、野菜特有の青臭さが気になるという方は、タサン志麻さんの切り方と火入れ方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

