【億ション時代到来】東京23区の新築マンションが1億円超え!「普通の家庭」が買っている?その衝撃的な実態と背景とは? | マーケターのつぶやき

【億ション時代到来】東京23区の新築マンションが1億円超え!「普通の家庭」が買っている?その衝撃的な実態と背景とは?

東京23区の新築マンションが1億円突破という衝撃の事実

近年、「マンション価格が高すぎる」という声を耳にしない日はないかもしれません。特に、東京23区の新築マンションの平均価格が、ついに1億円の大台を突破したというニュースは、多くの人に衝撃を与えました。

かつて「億ション」といえば、経営者や芸能人が住むような特別な物件というイメージでした。しかし今、価格は高騰し、「普通の家庭」が手が届くのかどうかの境界線があいまいになっています。

この異常な価格上昇の背景には何があるのでしょうか。本記事では、「億ション時代」の日本の不動産市場で、何が起きているのか、そして誰がこの高額なマンションを買っているのかなどについて、ご紹介します。

価格高騰の裏側:なぜ1億円を超えたのか?3つの構造的な要因

マンション価格の上昇は、単なる景気回復の結果ではありません。日本人の平均年収の増加ペースをはるかに超える価格高騰は、複数の構造的な要因が重なり合って起きています。

1. 建設コストの爆発的な高騰が原価を押し上げ

まず、物件の「原価」そのものが大幅に上昇しています。

  • 資材費の高騰: 世界的なインフレや円安の影響を受け、建設資材の輸入価格が急激に上昇しています。
  • 人件費の高騰: 建設業界における人手不足の深刻化に加え、2024年問題(働き方改革関連法による残業時間の上限規制)への対応コストも、マンションの販売価格に転嫁されています。

2. 円安が呼ぶ!外国人投資家による「高値買い」

都心物件の価格を押し上げる最大の外部要因の一つが、海外からの旺盛な需要です。

  • 「割安感」の加速: 他の国際都市と比較し、東京の不動産は依然として割安感があります。さらに、歴史的な円安が、海外の富裕層や投資家にとって、日本の物件を実質的に安く購入できる魅力的な機会を提供しています。
  • 安全資産としての魅力: 政治・経済が安定し、不動産の所有権が明確に保証される日本は、海外富裕層の「安全な資産の避難先」として選ばれています。

特に高額帯の物件では、外国人投資家が即金で高値購入するケースが多く、これが都心マンションの平均価格を押し上げる決定打となっています。

3. 「住居」ではなく「資産」としての需要集中

現代において、家は「住む場所」であると同時に「資産」です。

低金利が続くなか、「どうせ買うなら、価値が下がらない(むしろ上がる可能性がある)都心の物件を」という意識が国内の実需層にも強く働いています。この資産形成を目的とした需要の集中が、都心・好立地物件の価格をさらに押し上げる構図となっています。

誰が買っている?:「パワーカップル」と外国人投資家の実態

それでは、平均年収が微増にとどまる日本で、誰が1億円超のマンションを買っているのでしょうか。その実態は、主に「特定の高所得世帯」「外国人投資家」の二極化が進んでいます。

主役は「パワーカップル」

現在の「億ション」の主な国内購入層は、夫婦二人とも正社員などで働き、高い世帯収入を得るパワーカップルです。

  • 世帯年収の合算: 単独の年収では1億円の借り入れが難しくても、夫婦がペアローンを組み、二人分の収入を合算することで、金融機関の融資基準をクリアしています。
  • 購入層の年収: マンション購入者の平均世帯年収は800万円台後半から900万円台に達しており、特に高額物件では世帯年収1,000万円超の層が過半数を占めています。この水準は、一般の平均世帯とは一線を画しています。

外国人投資家は「即金力」で価格を牽引

外国人投資家は、国内の住宅ローン利用者を上回る即金での購買力で市場を牽引しています。

  • 目的は資産保全: 彼らの多くは、利回り追求よりも、円安メリットを活かした安全な場所への資産分散を目的にしています。
  • 価格競争の勝者: ローンの審査や頭金を気にせず、提示された価格に即応できるため、特定の人気エリア(都心のタワーマンション、湾岸エリアなど)では、国内の実需層が高値で競り負ける傾向にあります。

「億ション」の性質が変わった

現在の「億ション」は、以前のような豪華すぎる特殊住戸だけを指すのではありません。

建築費高騰の結果、都心の一般的な広さ(70㎡前後)のファミリータイプのマンションでさえ、「価格が自動的に1億円を超えてしまう」状況になっています。これは、特定の富裕層だけが買う物件ではなく、高所得層の「普通の選択肢」の価格が1億円を超えてしまった、ということを意味します。

広がる格差と未来:マンション価格はどこへ向かうのか?

異常な価格高騰は、不動産市場に大きな格差を生み出し、その影響は住居費全体や社会構造にまで波及しています。

1. 「買える人」と「買えない人」の二極化

価格高騰の結果、「都心に住める層」「そうでない層」の差が鮮明になっています。

  • 都心: 外国人投資家と国内のパワーカップルが中心となり、価格競争が過熱。一般の年収層は購入が困難になっています。
  • 郊外・中古市場: 都心の新築を諦めた実需層は、郊外や、割安感のある中古マンションへと流れています。

2. 家賃高騰が追い打ち:「住居費全体」が急上昇

マンション価格の上昇は、賃貸市場にも影響を及ぼし、「住居費全体」のコストを押し上げています。

  • 賃貸需要の過熱: マイホーム購入を諦めた層が賃貸にシフトすることで、特にファミリー向け物件の需要が急増。
  • 家賃の上昇: 新築賃貸物件の建設コスト高騰や、賃貸需要の強さを背景に、東京23区では家賃が上昇傾向にあり、一部の物件では過去最高値を更新しています。結果として、賃貸を選んでも住居費負担が重くなるという二重苦に直面しています。

3. 政治・行政への影響:都心「住民」の構成が変わる

高騰による日本人住民の「流出・限定」と外国人住民の「急増」という人口構成の変化は、地方自治のあり方にも影響を与え始めています。

  • 外国人住民の課題増: 外国人比率が高まる区では、行政サービスや生活環境における多様なニーズへの対応が急務になっています。
  • 参政権・被選挙権の議論: 外国人住民も納税し、地域社会の担い手となっているにもかかわらず、区議会議員などの被選挙権は日本国民に限定されています。しかし、この人口構成の変化は、永住外国人に対する地方選挙の選挙権(投票権)だけでなく、区議会議員への被選挙権(立候補権)付与の是非について、より具体的な議論を促す可能性があります。過去には、一部の自治体(例:武蔵野市)で、外国人にも住民投票の権利を認める条例案が提出され、大きな社会的な議論を呼びました。

政府・自治体は価格高騰にどう動くか?

この異常な市場の過熱に対し、国や地方自治体は「市場の原理に任せる」姿勢と「問題として是正する」姿勢の二面性をもって対応しています。

1. 国のスタンス:市場原理と一極集中是正策

政府は、マンション価格高騰の主要因である外国人による不動産投資について、現時点では直接的な規制や課税を導入していません。これは、国際的な自由な取引を尊重するスタンスが背景にあります。

しかし、価格高騰の根源にある「東京一極集中」については、長年の政策課題として是正に取り組んでいます。

  • 間接的な抑制策: 地方への移住・就業を促す移住支援金や、東京23区内の大学の定員抑制など、東京圏への人口集中を緩和し、結果として都心の不動産需要を抑制しようとする間接的な施策を継続しています。

2. 自治体の「防衛策」:千代田区の事例

国が直接規制に慎重な中で、住民の生活環境の維持に危機感を持つ一部の自治体は、独自に動き始めています。

  • 千代田区の要請: 特に外国人投資と投機的な取引が顕著な千代田区は、業界団体に対し、新築マンション購入者に対して「一定期間の転売禁止条項」「同一名義による複数戸購入の制限」を自主的に導入するよう要請しました。
  • 目的: これは法的な強制力はありませんが、短期的な投機目的の購入を抑制し、実際に区に住む実需層に物件が行き渡るようにするための、自治体による「防衛策」と言えます。

今後の価格動向

現在の価格高騰を牽引している要因(建設コストの高止まり、外国人投資の継続、低金利環境)は、短期間で解消される見込みが低いです。この為、東京23区の新築マンションの平均価格は、今後も高水準で推移する可能性が高いと見られています。

冷静な判断が求められる「億ション時代」の心得

マンション価格が1億円を超えた「億ション時代」は、私たちに住まいに対する考え方の転換を迫っています。

「億ション」は、もはや超富裕層のものではなく、「高所得の共働き世帯と外国人投資家が競り合う場所」になったと言えるでしょう。

マイホームを検討する際は、「価格=資産性」という視点、そして「世帯としての購買力」を冷静に見極めることが重要です。

「高すぎる」と嘆くばかりでなく、都心か郊外か、新築か中古か、「自分にとっての価値」「市場の資産性」のバランスを冷静に見極める判断力が、今の時代には何よりも求められています。

【FAQ】よくある質問

Q1. 住宅ローン金利が上がったら、マンション価格は下がりますか?

A. 金利上昇は一般的に価格を下げる要因ですが、現在の東京の価格高騰は、「円安による外国人マネー流入」「建設コスト高騰」という金利に左右されにくい要因も大きいため、金利が多少上がっても、劇的に価格が崩れる可能性は低いと見られています。ただし、国内の実需層の購買力は確実に低下します。

Q2. 都心のマンションはすべて1億円を超えているのですか?

A. いいえ。「新築マンションの平均価格」が1億円を超えた、という意味です。都心でも、中古物件や築年数の古い物件、また狭い間取りの物件などは、当然ながら1億円を下回るものが多く存在します。価格の高騰は、新築市場やタワーマンションなどの一部に集中する「二極化」が進行しています。

Q3. パワーカップルでなくても、都心に住む方法はありますか?

A. 新築分譲マンションに固執しなければ、選択肢はあります。具体的には、①都心から少し離れた交通の便が良い郊外にシフトする②築年数が古めの優良な中古物件を購入し、リノベーションを行う③都心の狭い間取り(コンパクトマンション)を選択する、などが挙げられます。

Q4. 外国人投資家は今後も増え続けるのでしょうか?

A. 増え続ける可能性が高いと予想されます。日本の不動産は、国際的な視点で見ると依然として割安感があり、さらに地政学的な安定性から「安全資産」としての魅力が高いです。歴史的な円安が継続する限り、海外からの投資意欲は衰えにくい構造にあります。