「提案資料を出しても、いつも決裁が通らない」
「営業メールを書いても、反応が薄い」
「会議での説明が伝わっていない気がする…」
こんな経験、ビジネスパーソンなら一度はあるのではないでしょうか。
じつはそれ、「中身」ではなく「伝え方」に問題があるかもしれません。
そこで注目したいのが、「PASO構成」という文章・プレゼンのフレームワーク。
短くても、要点を明確に伝え、相手を行動に導く――。
多忙なビジネスの現場でこそ役立つ、伝達力を高める型です。
この記事では、PASO構成の意味と仕組み、そしてプレゼン・営業・社内文書などでの具体的な使い方などをご紹介します。
PASO構成とは?
PASO構成とは、「Problem(問題提起)」「Affinity(共感)」「Solution(解決策)」「Offer(提案)」の4つのステップで構成される伝達メソッドです。
構成を意識せずに話したり書いたりすると、つい情報が散らばりがちです。
しかしPASO構成を使えば、相手の心理を自然に誘導し、スムーズに納得と行動に導くことができます。
各ステップの役割
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Problem(問題提起)
相手が抱えていそうな課題を、簡潔に提示します。関心を引く導入に。 -
Affinity(共感)
相手の立場を理解していることを示すことで、「あなたの味方ですよ」と伝えます。 -
Solution(解決策)
課題に対する具体的な解決策・提案を提示。商品やサービス、施策の内容など。 -
Offer(提案)
行動を促す締めくくり。導入・検討・次のアクションを促します。
なぜビジネスパーソンにPASO構成が必要なのか?
◾ 限られた時間で「要点だけ」伝える必要があるから
会議・商談・チャット・社内報告――どの場面でも、ダラダラ説明している時間はありません。
PASO構成は、「相手が知りたい順番」で情報を整理できるため、時間を取らずに説得力を持たせることができます。
◾ 論理+感情の両面で納得を得られるから
単なるスペックや数値の説明ではなく、「なぜそれが必要か」「相手にとってどう価値があるか」を共感を通して伝えられます。
つまり、数字だけで動かない相手にも刺さる構成です。
◾ 汎用性が高く、どんな文書・会話にも応用できるから
報告メールから営業資料、プレゼン原稿、社内稟議書まで、文章の目的や形式を問わず使えるのがPASOの強みです。
PASO構成の具体例:営業メール
Problem(問題提起)
「御社の営業部でも、商談の進捗管理に時間がかかっていると伺っています。」
Affinity(共感)
「Excelでの手作業管理だと、更新ミスやタイムラグがどうしても発生しますよね。」
Solution(解決策)
「当社の『SFA Lite』は、営業プロセスを自動化し、週報や案件状況の一元管理が可能になります。」
Offer(提案)
「まずは15分のお打ち合わせで、貴社の業務に合うかご確認いただけませんか?」
PASO構成が活用されるビジネスシーン
1. プレゼン・社内説明資料
「なぜこのプロジェクトが必要なのか」「どんな効果があるか」を論理的に、かつ共感を交えて伝えるのに最適です。
2. 営業トーク・提案書
お客様の課題に寄り添いながら提案を進められるので、「売り込む」より「相談される」営業ができます。
3. 社内報告・稟議文書
稟議の通りやすさを左右するのは「納得感」。PASOは論点をクリアに伝える土台となります。
4. マネジメント(部下への指導・改善依頼など)
部下の困りごとに共感しつつ、改善策を提示し、行動を促す指導にもPASOは活用できます。
PASO構成を活かす3つのコツ
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「問題提起」は相手視点で書く
自社や自分の話から入ると関心を持たれません。相手が直面している課題から始めましょう。 -
「共感」は表面的にしない
「大変ですね」だけで終わらず、自分も同じ状況を知っている、経験があると示すと、一気に信頼が深まります。 -
「提案」は明確かつ具体的に
曖昧な締めは行動につながりません。「一度話しましょう」「無料トライアルがあります」など、次のステップを明示しましょう。
PASO構成はマーケティングでも有効!活用シーンと具体例
PASO構成は営業・プレゼンだけでなく、マーケティング施策全般に応用できる「感情に働きかける型」でもあります。特に、Webコンテンツや広告コピー、LP(ランディングページ)などでは強い効果を発揮します。
◾ なぜPASOがマーケティングで効くのか?
マーケティングでは「顧客の行動を引き出す」ことが目的です。
PASO構成は、課題提起から共感・解決・行動促進という自然な心理誘導の流れを作れる為、ユーザーに「自分ごと化」させやすく、コンバージョン(成果)につながりやすい構成なのです。
【マーケティングでの活用例】
① ランディングページ(LP)の構成に
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Problem:「忙しくて自炊ができない。でも健康も気になる…」
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Affinity:「同じように悩む方が増えています。私たちもそうでした。」
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Solution:「冷凍でも栄養バランス◎、管理栄養士監修のミールセットをお届けします。」
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Offer:「初回限定50%オフキャンペーン実施中!」
→ 「悩み → 共感 → 解決 → 今すぐ試す」の流れで、行動へスムーズにつなげられます。
② メルマガ・SNS投稿の構成に
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Problem:「広告を出しても、クリック率が伸びない…」
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Affinity:「それ、クリエイティブではなく『見せ方の順番』かもしれません。」
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Solution:「今注目の『PASO構成』を活用すれば、反応率が改善できます。」
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Offer:「活用テンプレートを無料でダウンロードできます!」
→ SNSやメルマガでも、限られたスペースの中で説得力ある訴求が可能になります。
③ コンテンツマーケティング(記事構成)に
SEO記事やオウンドメディア記事でも、「ユーザーの悩み(Problem)」に寄り添い、「自社の視点(Affinity)+課題解決の知見(Solution)+行動導線(Offer)」という流れで構成することで、自然に読み進められ、問い合わせや資料請求につながる記事が作れます。
PASOをマーケティングで使う際の3つのコツ
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Problemは「顕在ニーズ」ではなく「潜在ニーズ」を意識する
多くのユーザーはまだ自分の課題に気づいていません。共感を得るには、「言語化されていない不満や不安」を引き出す視点が重要です。 -
Affinityで「あなたも私たちと同じ」と示す
ブランドの姿勢や担当者の声など、感情に寄り添う表現を使うと、距離感を縮めやすくなります。 -
Offerで“今動く理由”を加える
限定性・特典・時期などの「行動喚起のフック」を用意することで、行動率が大きく変わります。
PASOはマーケターの“共感力”を強化する武器
マーケティングは、「数字を伸ばすこと」だけではなく、「相手の気持ちを動かすこと」。
PASO構成を使えば、情報過多の時代においても、「このサービス、自分に必要かも」と思わせる構成力を持つことができます。
セールスライティングでも、記事作成でも、SNSでも。
一貫して「共感を軸に動かす」PASO構成は、現代のマーケターにとって心強い武器となるはずです。