昨年（2024年）もクマによる人身被害は深刻でしたが、今年（2025年）の被害は、すでに過去最悪だった年を上回るペースで発生しています。特に死亡者数は統計開始以来、最多を更新。危機は終息するどころか、統計史上最も危険な状況にあり、あなたの日常のすぐ隣に、命を脅かす危険が潜んでいるのです。
「クマとバッタリ遭遇した時、あなたは何をしますか？」
最も怖いのは、パニックによる「間違った行動」です。警戒していても、いざ直面した際に走って逃げるなど、誤った判断を下せば、悲劇につながります。
この記事では、環境省や専門家の指針に基づいた、「距離別」の正しい対処法を、行動心理から分かりやすく解説します。この知識を知っているかいないかが、あなたの命運を分けることになります。わずか数分で読めるこの記事で、最も重要な「生き残るための知識」を今すぐ手に入れてください。
1. 最重要！クマと「出会わない」ための予防策
何よりも重要なのは、クマに自分の存在を事前に知らせて、クマの方から避けてもらうことです。
- 音で知らせる
- 熊鈴、ラジオ、ホイッスルなどを常に鳴らして携行しましょう。
- 見通しの悪い場所では、声を出す、手を叩くなどして人の存在を遠くから伝えます。
- 誘引物を除去
- 生ゴミ、調理くず、収穫しない果実などを屋外に絶対に放置しないでください。クマは一度エサの味を覚えると、その場所に執着します。
- 時間帯・場所の配慮
- クマの活動が活発な早朝や夕方（薄暮時）の山や森への立ち入りを控えましょう。
- 沢沿いや風の強い日は音が届きにくいため、特に注意が必要です。
2. 遠くにクマがいることに気づいた場合（距離がある場合）
クマがまだ遠くにいる、またはこちらに気づいていない場合は、刺激せずに静かに立ち去ることが鉄則です。
【やるべきこと】
- 【最優先】 落ち着いて、静かに立ち止まります。
- クマに背中を見せず、ゆっくりと静かに後ずさりして距離を取ります。
- （クマが気づいていない場合）穏やかな声で話しかけるなどして存在を知らせます。
【やってはいけないこと】
- 大声をあげる、叫ぶのはクマを刺激するのでNGです。
- 走って逃げると、クマの本能で追いかけてくるため、絶対にやめましょう。
- 石や棒を投げつけるなど、クマを刺激する行動は避けましょう。
- 写真を撮るために近づくのも危険です。
3. 近くでバッタリ遭遇した場合（至近距離）
驚きでパニックになりやすい状況ですが、絶対に走ってはいけません。冷静な対応が求められます。
【やるべきこと】
- 落ち着いて、静かに立ち止まります。パニックになってはいけません。
- 両腕を広げ、ゆっくりと体を大きく見せて人間であることを伝えます。
- 目をそらさず、クマの動きを確認しながら、ゆっくりと後ずさりします。
- クマ撃退スプレーを携行している場合は、すぐに使えるよう構えます。
【やってはいけないこと】
- 背中を見せて猛ダッシュすると、クマは獲物とみなし追いかけてきます。
- 子グマがいても、絶対に近づかないでください。母グマが近くにいて、非常に攻撃的になります。
- 威嚇されても、大声で応戦したり、物を投げたりするのは避けましょう。
4. 特に危険な「捕食目的のクマ（人食い熊）」の特徴と対応
クマによる人身被害の多くは、クマが驚いたり子を守ったりする「自己防衛」によるものですが、人を獲物と見なす捕食目的の個体（通称「人食い熊」や「新世代クマ」）の存在も指摘されています。
捕食目的のクマの行動特徴
通常のクマが人間を恐れるのに対し、捕食目的のクマは、人間を「食料」と認識しているため、その行動に強い執着が見られます。
- ゆっくりとした接近: 威嚇や大きな音を立てずに、静かに、しかし執拗にこちらを意識しながら距離を詰めてくる。
- 夜間の活動: 人間がいる時間帯を避け、夜間や薄暮時に人里や民家に侵入する。
- 獲物の隠蔽: 襲った獲物（人間を含む）を土や落ち葉で隠す「土かけ」を行う。
捕食目的のクマへの対応原則
自己防衛型のクマと異なり、「死んだふり」や静かな後退が通じない可能性が高いです。
遭遇した距離別の対応
- 遠距離～中距離の場合： 最優先で全力で屋内や車内へ退避してください。背中を見せないように、走らず横歩きで距離を稼ぎ、退避できたら大声で助けを求めましょう。遠くから大声を上げたり、興味本位で立ち止まったりするのは避けてください。
- 至近距離（回避不可）の場合： クマ撃退スプレーを噴射してください。躊躇せず、クマの目鼻を狙って全量を噴射しましょう。獲物と見なされている場合、防御姿勢を取っても捕食行動を継続される可能性が高いため、死んだふりはしません。
- 噛みつかれた場合： 徹底的に抵抗し続けてください。目や鼻を叩く、喉に指を突っ込むなど、クマが怯むまで反撃し続けることが命を守る最後の手段です。
5. 至近距離で襲われた場合（最終手段）
（※自己防衛型のクマの攻撃回避に特化した内容です。捕食目的の場合は上記4項を参照してください。）
攻撃を回避できないと判断したら、致命傷を避けるための防御姿勢をとります。
- 【最優先】顔と首を守る: 両腕で顔面と頭部を覆い、首元への攻撃を防ぎます。
- すぐに地面に伏せる: 腹部と背中の重要臓器を守るため、うつぶせになり、動かない防御姿勢をとります。リュックを背負っている場合は、リュックで背中を守りましょう。
- 撃退スプレー噴射: クマを十分に引き付けてから、顔（目鼻）に向かって躊躇なく噴射します。
6. 命を守るための装備
クマの被害に遭わないためには、日頃からの備えが不可欠です。
- クマ撃退スプレー: 最後の手段として非常に有効です。すぐに使える場所に携行し、使い方を事前に確認しましょう。
- 熊鈴・ラジオ: 自分の存在を知らせるための必須アイテムです。
- 複数人での行動: 単独行動を避け、複数の人でいることがクマを遠ざける効果があります。
安全な行動で、自分自身と大切な人の命を守りましょう。
