青森県では月に50万個売れているパンがあります。🍞
その名も「イギリストースト」。工藤パンが昭和42年頃から作り続けているロングセラー商品で、青森県民にとっては給食や朝ごはんの定番として親しまれてきた、まさにソウルフードです。
中身はシンプルで、山型食パン2枚に専用マーガリンとグラニュー糖をはさんだだけ。それなのになぜ60年近く売れ続けているのか——その秘密は、専用開発されたマーガリンの配合、独自の発酵種で焼き上げるパンのしっとり感、そして一度食べたら忘れられないグラニュー糖のジャリ感にあります。
先日、駅構内の物産展でたまたま発見して購入。手に取ったのはグラニュー糖増量の「スペシャル」版でした。

今回は、イギリストーストの歴史・特徴・バリエーション・入手方法まで詳しく紹介します。
🍞 イギリストーストとは?
イギリストーストは、青森県青森市に本社を置く工藤パンが製造・販売する菓子パンです。昭和42年頃の発売以来、60年近くにわたって青森県民に愛され続けているロングセラー商品。
工藤パンは1948年(昭和23年)創業の青森を代表する地元パンメーカーで、青森県内のスーパーやコンビニには工藤パンの商品が当たり前のように並んでいます。イギリストーストはその工藤パンを象徴するフラッグシップ商品といえる存在です。
中身はシンプルで、山型食パン2枚のあいだに専用マーガリンとグラニュー糖をはさんだだけ。いわゆる「菓子パン」に分類されますが、甘さは控えめで朝食にもおやつにも自然と手が伸びる、主食とおやつの中間のような独特のポジションが特徴です。
青森県民にとっては給食や遠足のおやつ、朝ごはんの定番として子どもの頃から親しんできた味。「青森出身の人に地元の好きな食べ物を聞くと、必ずといっていいほど名前が出てくる」といわれるほど、地元への根付き方が深い商品です。
一方、県外での知名度はまだまだ低く、物産展やアンテナショップで初めて存在を知る人も多いのが現状。シンプルな見た目からは想像しにくいこだわりと歴史が詰まった、知れば知るほど面白いパンです。
| 商品名 | イギリストースト |
|---|---|
| 製造元 | 株式会社工藤パン(青森市) |
| 発売開始 | 昭和42年(1967年)頃 |
| 内容 | 山型食パン2枚・専用マーガリン・グラニュー糖 |
| 月間販売数 | 約50万個(青森県内) |
📖 名前の由来と誕生の歴史
「イギリス」はどこから?
青森なのになぜ「イギリス」という名前なのか、不思議に思いますよね。
じつは、ふたをしないで焼いた山型食パンのことを日本では「イギリスパン」と呼ぶ習慣があります。イギリス人が伝えたパンの形がルーツとされているためです。イギリスパンを使った商品ということで、自然と「イギリストースト」という名前になりました。
「トースト」なのに焼いていない?
もうひとつの謎が「トースト」という名前。パッケージを開けても、焼かれた様子はありません。
これは「焼くとさらにおいしい」というアピールからきているという説が有力です(諸説あり)。実際にトースターで温めると、マーガリンがとろけてさらにおいしくなります。
誕生のきっかけ
青森県むつ市大湊地区では、もともと山型食パンにバターを塗り砂糖をかけて食べる習慣がありました。工藤パンの創業者・工藤半右衛門氏がそれをヒントに商品化。バターの代わりに専用マーガリンを開発し、昭和42年頃に販売を開始しました。
💡 発売当初は1枚切りの山型パンにマーガリンと砂糖をかけたスタイルでした。現在のような2枚合わせのサンドスタイルになったのは昭和51年(1976年)のことです。
✨ 味・食感のこだわり
「山型食パン・専用マーガリン・グラニュー糖」という3つの要素だけで構成されているイギリストーストですが、それぞれに工藤パン独自のこだわりが詰まっています。
専用マーガリン
イギリストーストに使われているマーガリンは、この商品のためだけに開発されたオリジナルの専用品。他社では手に入らない配合で、発売当初から変わっていません。
バターではなくマーガリンを選んだのには理由があります。バターは風味が強く温度によって味が変わりやすいのに対し、マーガリンは安定した風味を保ちやすく、毎日食べても飽きない味に仕上がります。甘すぎず、くどくない——その絶妙な加減が、朝食にもおやつにも自然と手が伸びる理由のひとつです。
グラニュー糖のジャリ感
マーガリンとあわせてはさまれているのがグラニュー糖。一般的な上白糖に比べて粒が大きく溶けにくいグラニュー糖を使うことで、口に入れたときの「ジャリッ」とした独特の食感が生まれます。
この食感こそがイギリストーストの代名詞ともいえる部分で、スペシャル版ではグラニュー糖の量がさらに増量されています。甘さそのものより、食感として楽しむという発想が面白いですよね。実際に食べてみると、ジャリ感はしっかりありながらも甘さはくどくなく、パンのしっとり感と絶妙にバランスが取れています。
パンのしっとり感
使用する山型食パンも特別です。自家製発酵種「ルヴァン」を使って焼き上げることで、市販の食パンとは異なる深みのある風味としっとりした食感を実現しています。ルヴァンとは小麦粉と水を混ぜて自然発酵させた発酵種のことで、パンに独特のやさしい酸味と複雑な風味をもたらします。
さらに、焼き上がりから2時間半以内に商品化するというスピードも、しっとり感を保つための重要なこだわり。パンは時間が経つほど水分が抜けてパサつきやすくなるため、この鮮度管理が食感の決め手になっています。
パンの厚みも創業者が「いちばんおいしく食べられる厚さ」を研究して決めたオリジナルの寸法で、市販の8枚切り・10枚切りとは異なります。

写真で見てもわかる通り、きめが細かく均一な気泡が広がっています。手に取るとふんわりとした弾力があり、見た目以上にしっとりしているのが印象的でした。
三要素が合わさることで生まれる味
専用マーガリンの上品な甘さ、グラニュー糖のジャリッとした食感、ルヴァン仕込みのしっとりしたパン——この3つが組み合わさることで、どれかひとつだけでは出せない味のバランスが生まれています。シンプルに見えて、実は緻密に設計された味といえます。
そのまま食べてもおいしいですが、トースターで軽く温めるのがおすすめ。マーガリンがとろっとして、パンがサクッと香ばしくなり、また違うおいしさが楽しめます。冷たいままだとしっとり感、温めるとサクッと感——ひとつで二通りの食べ方が楽しめるのも魅力です。
🎨 バリエーションの豊富さ
イギリストーストのもうひとつの魅力が、その圧倒的な種類の多さです。定番のマーガリン&グラニュー糖をベースに、これまでに発売されたフレーバーはなんと300種類以上。60年近い歴史の中で、工藤パンは常に新しい味に挑戦し続けてきました。
定番フレーバーをベースに季節ごとの限定品、地域素材を使ったもの、コラボ商品まで幅広く展開されており、青森県民にとっては「今月はどの味が出ているか」をチェックするのも楽しみのひとつになっています。
定番・人気フレーバー
- ⭐ スペシャル……グラニュー糖増量の”ジャリ増し”版。ジャリ感を存分に楽しみたい人向け
- 🍫 ブレンドコーヒークリーム……ほろ苦いコーヒークリームがマーガリンと相性抜群。大人向けの定番
- 🫘 小倉&マーガリン……粒あんのやさしい甘さとマーガリンの組み合わせ。和テイストの人気フレーバー
- 🍮 カスタード風味クリーム&ホイップ……ふんわりしたホイップとカスタードのリッチな味わい
- 🍵 抹茶クリーム&小倉……抹茶と小倉の組み合わせは季節を問わず人気が高い
初めて買うならどれがいい?
初めてイギリストーストを食べるなら、まずは定番のマーガリン&グラニュー糖かスペシャルがおすすめです。イギリストースト本来の味とジャリ感をシンプルに体感できます。
今回購入したのはスペシャル。通常版よりグラニュー糖が多めで、ひと口かじるとジャリジャリ感がしっかり楽しめます。甘さはくどくなく、パンのしっとり感とのバランスがちょうどよい感じでした。定番に慣れてきたら、コーヒークリームや小倉&マーガリンなどにも順番に挑戦してみると、イギリストーストの奥深さがよりわかってきます。
季節限定・コラボ商品
工藤パンは定番フレーバーに加え、季節ごとの限定商品も積極的に展開しています。春は苺・さくら系、秋はさつまいも・栗系など、旬の素材を取り入れたフレーバーが登場することが多く、青森のスーパーでは季節の変わり目に棚が一気に入れ替わることも。
また、アニメや地元キャラクターとのコラボパッケージも過去に複数登場しており、コレクターズアイテムとして話題になることもあります。物産展や催事では限定フレーバーが並ぶこともあるので、見かけたら迷わず手に取ってみてください。
🇬🇧 パッケージにはイギリス国旗(ユニオンジャック)をイメージした赤・青・白のデザインが使われています。このデザインは昭和51年から続くもので、イギリス大使館からも国旗使用の許可を得ています。
🛒 購入できる場所
物産展・催事
今回のように、駅構内や百貨店で開催される東北・青森の物産展に出品されることがあります。賞味期限が短い商品なので、こういった催事での購入はタイミングが合えばかなり狙い目です。
青森・東北エリア
青森県内のスーパーやコンビニで幅広く購入できます。東北6県のスーパーでも取り扱いがある場合があります。
青森県外・東京
東京・有楽町の青森県アンテナショップや、赤坂の「AoMoLink(アオモリンク)」でも購入できます。人気が高く、入荷日にはすぐ完売することも多いようです。
通販
賞味期限が製造から3日と短いため、通販での購入はやや難易度が高め。「カブセンター」のオンラインショップでの取り扱い実績があります。購入を検討する場合は、お届け日程に余裕をもって注文するのがポイントです。
🍞 一度食べたら、また食べたくなる理由がわかる
昭和42年の誕生から60年近く、青森県で月50万個売れ続けているイギリストースト。その秘密は、専用マーガリン・グラニュー糖のジャリ感・ルヴァン仕込みのしっとりパンという三要素が絶妙に組み合わさった、シンプルの中に緻密な設計があるところにあります。
さらに300種類以上というバリエーションの豊富さ、季節ごとに入れ替わる限定フレーバー——青森県民にとっては生活の一部として当たり前に存在しているのに、県外ではまだほとんど知られていない。そのギャップがまた、このパンの面白さでもあります。
実際に食べてみて感じたのは、「素朴なのに飽きない」という絶妙なバランスでした。派手さはない。でもひと口かじると、なぜ60年売れ続けているのかがじんわり伝わってくる味です。
📍 イギリストーストに出会えるかもしれない場所
・青森県内のスーパー・コンビニ(現地では最も確実)
・駅構内や百貨店の東北・青森物産展(不定期開催)
・東京・有楽町の青森県アンテナショップ
・赤坂「AoMoLink(アオモリンク)」
物産展や青森旅行のタイミングで見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。「なんでこんなにシンプルなのに…」という感想が出てくるはず。そのときはじめて、イギリストーストの本当の魅力に気づけると思います🍞✨

