🍷 トスカーナワインの赤・白・ロゼが揃うのはなぜ珍しいのか | マーケターのつぶやき

🍷 トスカーナワインの赤・白・ロゼが揃うのはなぜ珍しいのか

「トスカーナワインといえば赤」——そう思っている方は多いのではないでしょうか。実際、トスカーナはキャンティやブルネッロなど世界屈指の赤ワイン産地として知られています。だからこそ、白やロゼが揃うことは非常に珍しいのです。

先日、池袋の東武百貨店「イタリア展」でトスカーナ産の赤・白・ロゼが一堂に揃っているコーナーに出会いました。店員さんに聞くと「3種類が揃うのはかなり珍しい」とのこと。さらに調べてみると、白ワインには「赤ブドウから作られている」という驚きの秘密がありました。

なぜトスカーナの赤・白・ロゼが揃うのは珍しいのか、そしてなぜ白ワインが赤ブドウから作られているのか——その理由をわかりやすくご紹介します。


🌿 そもそもトスカーナワインとは?

イタリア中部に位置するトスカーナ州は、イタリアで最も重要なワイン産地のひとつです。キャンティ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノなど、世界的に名高い銘柄を数多く生み出しており、トスカーナ公国の大公コジモ3世が1716年にワイン産地の「境界」を定めたのは、世界の原産地保護の歴史上最初の出来事とされています。それほど長い歴史と格式を持つ産地です。

トスカーナワインの主役はサンジョヴェーゼという赤ブドウ品種。フルーティーで酸とタンニンが豊富な黒ブドウ品種で、イタリア国内の栽培面積でも第1位を誇ります。キャンティをはじめ、トスカーナの名だたるDOCG銘柄のほとんどがこのサンジョヴェーゼを主体に作られています。

こうした背景から、トスカーナは圧倒的に赤ワインが中心の産地です。赤ワインと白ワインの生産比率は8対2ほどとも言われており、ロゼに至ってはさらに少ない。つまり、赤・白・ロゼの3種が一度に揃うこと自体が、産地の特性上とても珍しい状況なのです。


⚪ 特に注目!赤ブドウから作る「白ワイン」の存在

今回出会った白ワイン「Droppello / Tenuta Fertuna」は、実は赤ブドウ品種のサンジョヴェーゼから作られた白ワインという、かなり珍しい一本です。

テヌータ・フェルトゥーナはトスカーナ州マレンマ地区に位置する約150ヘクタールの広大なワイナリーで、50ヘクタールがブドウ畑として使われています。自然の円形劇場のような地形に恵まれており、ブドウが理想的な熟度に達しやすい環境が整っています。「Droppello」は、インチーザ侯爵が友人のジュゼッペ・メレガッリと協力して、より多くの人に楽しんでもらえる白ワインを作りたいという思いから生まれました。

💡 なぜ赤ブドウから白ワインが作れるの?

実は、ブドウの果汁自体はほとんどの品種で無色透明です。赤ワインの色は果皮に含まれる色素(アントシアニン)が果汁に溶け出すことで生まれます。そのため、赤ブドウを優しくプレスし、果皮と果汁をすぐに分離することで、赤ブドウからでも透明な白ワインを作ることができます。この製法は「ブラン・ド・ノワール(黒ブドウから作る白)」とも呼ばれ、手間がかかる分、非常に希少な存在です。

仕上がりの味わいも個性的で、ミネラル感があり、白い花やフルーツの香り、フレッシュな柑橘系のニュアンスが特徴的な、キレのある辛口白ワインです。魚介料理や白ソースのパスタとの相性が特に良く、イタリア料理全般に合わせやすい一本です。

つまり今回の3本は、「トスカーナの赤」「トスカーナの赤ブドウから作った白」「トスカーナのロゼ」という、ただ色が違うだけではない、それぞれに深いストーリーを持つ組み合わせ。ワインに詳しくない方でも、この背景を知った上で飲み比べると、一段と楽しめるはずです。


🍷 イタリア展で出会った3本

実際にイタリア展で販売されていたトスカーナワイン3本をご紹介します。

🔴 赤ワイン

Capraia Chianti Classico Riserva 2018(カプライア キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ)

6,700円(税込)

テヌータ・ディ・カプライアは1981年にキャンティ・クラッシコの歴史ある名門エステートを取得した生産者で、トスカーナの伝統を守りながら高品質なワインを作り続けています。2018年ヴィンテージのリゼルヴァはサンジョヴェーゼ100%で醸造され、18ヶ月間の樽熟成を経た一本です。

チェリーや青い花のアロマから始まり、スパイスやリコリスへと複雑に変化する味わい。フルボディで余韻が長く、ローストミートや熟成チーズとの相性が抜群です。

⚪ 白ワイン(赤ブドウ品種から醸造)

Droppello / Tenuta Fertuna(ドロッペッロ/テヌータ・フェルトゥーナ)

5,200円(税込)

前のセクションで詳しく紹介した通り、赤ブドウのサンジョヴェーゼを白ワインとして醸造した希少な一本。単一畑「アルボレッリ」産のブドウのみを使い、ミネラル感のあるフルーティで繊細な風味が特徴です。

魚介の前菜、白ソースのパスタ、白身肉のグリルなどと好相性。赤ワインの個性を持ちながらも白ワインとして楽しめる、ユニークな一本です。

🌸 ロゼワイン

Colmo di Cielo Rosato di Toscana 2024 / Podere dell’Anselmo(コルモ・ディ・チエーロ・ロザート)

3,200円(税込)

ポデーレ・デッランセルモはファミリー経営のワイナリーで、伝統的な農法と現代的な醸造技術を組み合わせながら、長期熟成に耐えるワインを造ることをモットーとしています。このロゼは手摘みで収穫したサンジョヴェーゼを低温管理のステンレスタンクで発酵させたフレッシュなスタイル。

淡いサーモンピンクの美しい色合いと、柑橘・パイナップル・リンゴを思わせるフルーティな香りが特徴。軽やかで飲みやすく、3本の中では最もリーズナブルな3,200円というのも嬉しいポイントです。

🍷 飲み比べるならこの順番がおすすめ

① ロゼ(Colmo di Cielo)→ 軽やかなロゼで口を慣らす
② 白(Droppello)→ 赤ブドウの個性を白ワインで体感
③ 赤(Capraia)→ 濃厚なキャンティでフィニッシュ


🤔 「赤の産地」の白・ロゼって、美味しいの?

「赤ワインの産地なら、白やロゼは二番手なのでは?」と思った方もいるかもしれません。実はこれ、よくある誤解です。

その証拠として、トスカーナには「ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ」という白ワインがあります。1276年にはすでにその記録が残っており、王室や教皇、商人の間で飲まれてきた歴史深い銘柄で、ダンテの『神曲』やボッカチオの『デカメロン』にも登場します。そして1966年にイタリアで初めてDOCに認定されたワインでもあり、トスカーナの”白の女王”と呼ばれています。

💡 つまりトスカーナは、赤ワインが有名になる以前から白ワインの名産地でもあったのです。「赤の産地だから白は劣る」ではなく、「赤も白も、それぞれの個性で世界に認められている」というのが正確な見方です。

ロゼについても同様です。近年、フランス・プロヴァンスのロゼが世界的ブームになったように、ロゼワインは「赤でも白でもない妥協の産物」ではなく、独立したスタイルのワインとして世界的に再評価されています。トスカーナのロゼも、サンジョヴェーゼの果実感を軽やかに表現した個性ある一本として楽しめます。

「赤が有名な産地の白・ロゼは美味しくない」という先入観は、一度試してみると簡単に覆されるはずです。


🌟 3本揃って初めてわかるトスカーナの奥深さ

改めて整理すると、トスカーナの赤・白・ロゼが揃うのが珍しい理由はこうです。

🔴 トスカーナは世界屈指の赤ワイン産地のため、白・ロゼの生産量が圧倒的に少ない
⚪ 白ワイン「Droppello」は赤ブドウから作るという特殊な製法で、さらに希少性が高い
🌸 ロゼも同様にサンジョヴェーゼ由来で、3本すべてがトスカーナ産という点も珍しい

つまり「赤・白・ロゼが揃う」というのは、単に色が違うワインが3本あるということではなく、「赤ワインの産地」であるトスカーナが、その枠を超えた多様な表現をしているという証でもあります。これが、ワイン好きの間で「珍しい」と言われる理由です。

ワインに詳しくない方にとっても、「赤・白・ロゼで飲み比べてみる」という体験は、トスカーナワインの世界への入り口として最適です。まず手が届きやすいロゼ(3,200円)から試してみて、気に入ったら白・赤へと広げていくのもおすすめです。

今回はイタリア展というイベントで偶然この3本に出会いましたが、こういった催事はトスカーナワインのような普段なかなか手に入らない本場の一本と出会える貴重な機会です。次回のイタリア展やワインイベントの際には、ぜひ「赤・白・ロゼが揃っているか」という視点で探してみてください。

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