とうがんは、煮ると透明感が増し、口の中でほどけるようなやわらかさを楽しめる野菜です。淡泊な味わいだからこそ、スープや魚介のうまみをよく吸い込みます。
「とうがんとえびのスープ」は、2026年9月8日放送のNHK「きょうの料理」で紹介された一品です。
教えてくれたのは、東京・代々木上原にある中華料理店「ジーテン」の店主・吉田勝彦さん。この日のテーマは、季節や体調に合わせた食材を毎日の料理に無理なく取り入れる「夏の疲れをいやす ゆる薬膳」でした。
番組では、体を冷やして潤す食材とされるとうがんを、温かいスープで味わう料理として紹介されています。
とうがんのとろけるような口当たりに、えびとチキンスープのうまみがじんわりと広がる、やさしい味わいの一品です。
とうがんとえびを加えるタイミングを分けるだけで、それぞれの食感を生かしたスープに仕上がります。暑さが残る日にも、少し肌寒さを感じる日にも食べやすい「とうがんとえびのスープ」を作ってみましょう。
🥣 とうがんとえびのスープの材料
材料は2人分です。
- とうがん:500g(皮・種・ワタを除いて正味250g)
- むきえび:50g
- チキンスープ:2カップ
- 酒:大さじ2
- 塩:小さじ1/2
- 白こしょう:少々
- 青ねぎ:1本
チキンスープは、中華風顆粒チキンスープの素を商品の表示どおりに湯で溶いたものでも作れます。
🔪 材料の下ごしらえ
1.とうがんの皮を厚めにむく
とうがんは食べやすい大きさに切り、種とワタをスプーンなどで取り除きます。
皮は包丁で厚めにむきましょう。
とうがんは皮の近くがかたいため、薄くむくと煮たあとも筋っぽさやかたさが残ることがあります。緑色の部分が残らない程度を目安に、少し厚めにむくのがポイントです。
2.とうがんを1cm角に切る
皮、種、ワタを取り除いたとうがんを、1cm角に切ります。
小さめに切ることで短時間でも火が通りやすく、スープと一緒に口へ運びやすくなります。
3.むきえびを切る
むきえびも、とうがんに合わせて1cm角に切ります。
材料の大きさをそろえると、スープをすくったときにとうがんとえびが一緒に入りやすくなり、口当たりもまとまります。
背ワタが残っている場合は、竹串などで取り除いておきましょう。
4.青ねぎを切る
青ねぎは小口切りにします。
香りと彩りを生かすため、煮込まずに仕上げに散らします。
🍤 とうがんとえびのスープの作り方
1.とうがんをチキンスープで煮る
鍋にチキンスープ2カップと、1cm角に切ったとうがんを入れて火にかけます。
沸騰したら弱火にし、約5分間煮ましょう。
2.とうがんが透き通るまで火を通す
とうがんの角が取れるようにやわらかくなり、果肉が透き通ってくるまで煮ます。
竹串などを刺し、力を入れずに通るくらいが火の通った目安です。
3.えびを加える
とうがんがやわらかくなってから、1cm角に切ったむきえびを加えます。
えびは火を通しすぎるとかたくなるため、とうがんが煮える前に加えないことが大切です。
4.味を調える
酒、塩、白こしょうを加えて味を調えます。
えびの色が変わり、中まで火が通ったら、長く煮込まずに火を止めましょう。
5.青ねぎを散らす
スープを器に盛り、小口切りにした青ねぎを散らしたら完成です。
青ねぎの緑色が加わり、淡い色合いのスープが鮮やかに仕上がります。
✨ おいしく仕上げるポイント
とうがんの皮は厚めにむく
とうがんの皮の近くにはかたい部分があります。
皮を薄くむきすぎると、やわらかく煮た果肉の中に筋っぽい部分が残ることがあるため、緑色が残らないように厚めにむきましょう。
ただし、皮をむいたあとの正味量は大きく減ります。今回のレシピでは、購入時のとうがん約500gに対し、下処理後の使用量は約250gが目安です。
とうがんを先に煮る
とうがんとえびでは、火が通るまでの時間が異なります。
とうがんを先に約5分間煮て、やわらかくなってからえびを加えることで、それぞれに適した火入れができます。
とうがんが透き通るのを目安にする
煮る時間だけで判断せず、とうがんの見た目やかたさも確認しましょう。
白かった果肉に透明感が出て、竹串がスッと通るようになったら、えびを加えるタイミングです。
えびは煮すぎない
むきえびは小さく切っているため、短時間で火が通ります。
長く煮るとかたくなり、プリッとした食感が失われるため、とうがんを十分にやわらかくしてから加えましょう。
白こしょうでやさしく香りを加える
白こしょうは、黒こしょうよりも色が目立ちにくく、淡い色のスープをきれいに仕上げられます。
香りを加えながらも、とうがんとえびの繊細な味わいを邪魔しにくい調味料です。
🌱 ゆる薬膳とは?
ゆる薬膳とは、季節や体調に合わせて食材を選ぶ薬膳の考え方を、普段の家庭料理に無理なく取り入れるスタイルです。
薬膳というと、生薬や手に入りにくい材料を使う特別な料理を想像するかもしれません。しかし、ゆる薬膳では、身近な野菜や肉、魚介などを組み合わせます。
難しい調理法や厳しい決まりを意識するのではなく、食材が持つとされる性質に注目しながら、季節に合った食事を楽しめるのが魅力です。
今回のスープも、とうがん、むきえび、青ねぎといった、スーパーで購入しやすい材料で作れます。いつもの食事に取り入れやすい、ゆる薬膳の一例です。
なお、薬膳における食材の性質は、医薬品のような効果を示すものではありません。季節や体調に合わせた献立を考えるための、一つのヒントとして取り入れましょう。
🌿 とうがんを温かいスープで味わう理由
薬膳の考え方では、とうがんは体の熱を冷まし、潤いを補う食材とされています。
一方で、暑いからといって冷たい食べ物ばかりを取ると、体が冷えすぎてしまうこともあります。
そこで今回の料理では、とうがんを冷たい料理ではなく、温かいスープにして味わいます。体を冷やすとされる食材を加熱して食べることで、「冷」と「温」のバランスを考えているのが特徴です。
スープにすることで、とうがんにチキンスープとえびのうまみがしみ込みます。温かく、やさしい口当たりなので、暑さが残る時季だけでなく、少し肌寒さを感じる日にも食べやすい一品です。
🥒 冬瓜は夏野菜なのになぜ「冬」の瓜?
冬瓜は、名前に「冬」という漢字が入っていますが、夏に旬を迎えるウリ科の野菜です。
丸ごとの状態では比較的保存性が高く、適切に保存すれば冬まで持つことから「冬瓜」と呼ばれるようになったという説があります。
果肉にはクセが少なく、味は淡泊です。煮るとやわらかくなり、だしやスープの味を吸い込みやすいため、煮物、スープ、あんかけなどに向いています。
スーパーでは大きな冬瓜を切り分けた状態で販売していることもあります。カット済みのとうがんは傷みやすいため、ラップで包んで冷蔵し、できるだけ早めに使い切りましょう。
❓ とうがんとえびのスープに関するQ&A
Q.とうがんの皮はピーラーでむけますか?
A.とうがんの皮は厚くてかたいため、ピーラーではむきにくいことがあります。扱いやすい大きさに切り、切り口を下にして安定させてから、包丁で緑色の部分を厚めにそぎ落とすとよいでしょう。
Q.とうがんの種とワタは食べられますか?
A.今回のスープでは種とワタを取り除きます。スプーンを使うと、果肉を削りすぎずに取り除きやすくなります。
Q.とうがんがなかなか透明にならない場合はどうしますか?
A.切った大きさや火加減によって、必要な時間は変わります。5分間は目安と考え、竹串がスッと通るまで弱火で追加加熱してください。スープが減りすぎた場合は、少量の湯を足して調整しましょう。
Q.冷凍むきえびでも作れますか?
A.使用できます。商品の表示に従って解凍し、キッチンペーパーなどで水気を拭いてから切りましょう。背ワタが残っている場合は取り除きます。
Q.えびは切らずにそのまま入れてもよいですか?
A.そのままでも作れますが、今回のレシピでは、とうがんと一緒に食べやすくするため1cm角に切ります。大きいまま使う場合は、中心まで火が通っていることを確認してください。
Q.中華風顆粒チキンスープの素でも作れますか?
A.商品の表示どおりに湯で溶かし、2カップ分を用意すれば作れます。商品によって塩分が異なるため、加える塩は味を見ながら調整しましょう。
Q.黒こしょうで代用できますか?
A.代用できます。ただし、白こしょうより香りや刺激が強く、スープの中で黒い粒が目立ちます。やさしい風味と淡い色合いを生かしたい場合は、白こしょうがおすすめです。
🥣 とろけるとうがんを温かいスープで楽しもう
「とうがんとえびのスープ」は、やわらかく煮たとうがんと、えびのうまみを楽しめる、やさしい味わいのスープです。
とうがんの皮を厚めにむき、1cm角に切って先に煮ることが、とろけるような口当たりに仕上げるポイント。とうがんが透き通ってからえびを加えれば、火を通しすぎず、やわらかな食感を残せます。
味付けは酒、塩、白こしょうとシンプルなので、とうがんにしみ込んだチキンスープとえびの風味が引き立ちます。
体を冷やす食材とされるとうがんを温かいスープで味わう、身近な「ゆる薬膳」の一皿。暑さが残る季節の変わり目に、じんわりとしみるスープを作ってみてはいかがでしょうか。

