日本の新幹線を支えてきた特別な車両「ドクターイエロー」が、ついに引退することになりました。正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」といい、新幹線の安全運行を支える検査専用車両です。その鮮やかな黄色い車体と、不定期運行のため「見ると幸運が訪れる」と言われることで、多くの鉄道ファンや一般の人々に親しまれてきました。しかし、2025年1月にJR東海のT4編成が運行終了となり、2027年にはJR西日本のT5編成も引退する予定です。
ドクターイエローの役割
ドクターイエローは、新幹線が安全に運行できるように、さまざまな設備をチェックする重要な役割を担っています。通常の新幹線と同じ速度で走行しながら、以下のような点検を行います。
🔹 架線(電線)の点検
パンタグラフを通じて電気の供給状態を確認し、電圧の変動や異常がないかを測定します。
🔹 レールの歪みや異常の検査
センサーを用いてレールの歪みやズレがないかを検査し、安全運行を支えます。
🔹 信号システムの確認
新幹線に送られる信号システムが正しく作動しているかをチェックします。
ドクターイエローの歴史
ドクターイエローは、新幹線の誕生とともに運行が始まりました。
🚄 初代ドクターイエロー(922形)(1965年~2000年)
新幹線開業(1964年)の翌年に登場。0系新幹線をベースにした検測車両として活躍しました。
🚄 現在のドクターイエロー(923形)(2000年~2027年)
700系新幹線をベースに開発された最新型で、東海道・山陽新幹線の検測を担当。
🚄 引退スケジュール
- JR東海 T4編成 → 2025年1月引退予定
- JR西日本 T5編成 → 2027年引退予定
ドクターイエローの後継は?
ドクターイエローの引退後は、新幹線の営業車両に検査機能を搭載する「営業車検測」方式が導入されます。特に、最新のN700S車両に検測装置を搭載し、営業運転をしながら検査を行う方式へ移行します。これにより、専用の検測車両を運行することなく、効率的に新幹線の保守点検を続けることが可能になります。
ドクターイエローを見る最後のチャンス
ドクターイエローが見られるのも、あとわずかです。最後にその姿を目にするには、以下のポイントを押さえておきましょう。
✅ 主要駅で待つ
東京駅・新大阪駅・博多駅など、新幹線の主要駅で待機すると、遭遇する可能性が高まります。
✅ SNSで目撃情報をチェック
運行日はある程度パターン化されており、過去の運行情報を元に予測することができます。
✅ 鉄道イベントをチェック
過去に京都鉄道博物館などで特別公開されたことがあり、最後の展示イベントが行われる可能性もあります。
まとめ
長年にわたり新幹線の安全運行を支えてきたドクターイエローが、ついにその役目を終えようとしています。専用の検測車両はなくなりますが、新たな技術で安全は維持されていきます。今後、ドクターイエローが走る姿を見られるのは限られた時間だけです。もし運良くその姿を目にすることができたら、それはまさに幸運な瞬間と言えるでしょう。🚄💛✨