高血圧は自覚症状が少ないため、気づかないうちに健康へのリスクが高まる「サイレントキラー」とも呼ばれています。放置していると重大な病気につながる可能性があるため、早めの対策が重要です。実は、私も以前に高血圧が原因で脳内出血になってしまって入院したことがあります。今回は、高血圧が原因で発生しやすい主な病気についてと血圧の適切な基準についても紹介します。
1. 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
高血圧は、脳の血管にかかる負担を大きくします。そのため、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、破れて出血する「脳出血」を引き起こしやすくなります。特に、急激に血圧が上がると血管が耐えきれずに破れやすくなるため、命に関わる大きなリスクです。脳卒中の後遺症には言語障害や半身麻痺が含まれ、長期的なリハビリが必要になることもあります。
2. 心筋梗塞と狭心症
高血圧が続くと、心臓を取り巻く血管である冠動脈が硬くなり、血流が悪化します。その結果、心臓の筋肉が酸素不足となり、心筋梗塞や狭心症が発生しやすくなります。心筋梗塞は突然の胸の痛みや呼吸困難を引き起こし、緊急治療が必要な病気です。狭心症も、動悸や胸の痛みなどの症状が出ることが多く、生活の質を大きく損なう原因となります。
3. 心不全
高血圧が心臓にかかる負担を増大させると、心臓のポンプ機能が低下し、「心不全」と呼ばれる状態になることがあります。心不全は、血液を全身に十分に送り出せないため、息切れやむくみ、倦怠感などの症状が現れます。症状が進行すると日常生活に支障をきたし、命に関わることもあります。
4. 腎臓病(腎不全)
腎臓は血圧の調整にも関与している臓器ですが、高血圧が続くと腎臓の血管がダメージを受けやすくなり、腎臓の働きが低下します。特に、慢性的な腎機能低下が進行すると「腎不全」となり、最悪の場合、人工透析が必要になることもあります。腎不全は進行性の病気であるため、血圧管理は腎臓を守るためにも重要です。
5. 動脈硬化
高血圧が続くと血管の壁が傷つきやすくなり、動脈が硬くなる「動脈硬化」が進行しやすくなります。動脈硬化は、心臓や脳をはじめとする全身の血管に悪影響を及ぼし、その他の多くの病気の引き金となります。動脈硬化は年齢とともに進行するため、特に中高年以降は血圧を定期的にチェックすることが大切です。
6. 大動脈瘤
高血圧により血管の壁が弱くなると、大動脈が膨らんでしまう「大動脈瘤」が形成されることがあります。大動脈瘤が破裂すると大量の出血が発生し、命に関わる危険な状態になります。自覚症状がない場合も多いため、早期発見が難しい病気ですが、血圧管理を徹底することでリスクを下げることができます。
適切な血圧の基準
健康な成人の場合、以下の血圧が基準として推奨されています。
- 正常血圧: 収縮期血圧(最高血圧)が120 mmHg未満、拡張期血圧(最低血圧)が80 mmHg未満
- 正常高値: 収縮期血圧が120-129 mmHg、拡張期血圧が80 mmHg未満
また、以下の範囲は高血圧の基準となります。
- 高血圧1度(軽度高血圧): 収縮期血圧が130-139 mmHg、または拡張期血圧が80-89 mmHg
- 高血圧2度(中等度高血圧): 収縮期血圧が140-159 mmHg、または拡張期血圧が90-99 mmHg
- 高血圧3度(重度高血圧): 収縮期血圧が160 mmHg以上、または拡張期血圧が100 mmHg以上
正常血圧の範囲内である 120/80 mmHg未満 を維持することが、病気のリスクを減らし健康を保つために理想とされています。
高血圧を予防・改善するためのポイント
高血圧を予防し、これらのリスクを下げるためには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。
- 減塩: 塩分の摂取を控え、1日6g未満にする。
- バランスの良い食事: 野菜や果物を積極的に摂り、カリウムの摂取を増やす。
- 適度な運動: ウォーキングなどの有酸素運動を習慣化する。
- 禁煙・節酒: タバコをやめ、飲酒量も適度に抑える。
- ストレス管理: リラックスできる時間を設け、十分な睡眠を確保する。
まとめ
高血圧はさまざまな病気を引き起こす大きな要因となります。しかし、適切な生活習慣を取り入れることで血圧を管理し、病気のリスクを大幅に下げることが可能です。
また、日々の血圧を把握し、自分の血圧がどの範囲にあるかを意識することも大切です。血圧は変動しやすいため、定期的にチェックすることで健康リスクにいち早く気づけます。今では、自宅で血圧を測定できる器具も簡単に手に入れることができるので、自宅での血圧測定を習慣化し、安心できる血圧管理を心がけてください。
オムロン 上腕式血圧計 スタンダード19シリーズ HCR-7104