顧客満足度やロイヤルティを可視化する指標として広く使われているのが、「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」となります。
今回は、NPSの基本から計算方法、活用シーン、混同されがちなBLS(ブランド・ロイヤルティ・スコア)との違いなどをご紹介します。
NPS(ネット・プロモーター・スコア)とは?
NPSとは、顧客がその商品・サービスをどれだけ他人に「すすめたい」と思っているかを測る指標です。企業が顧客ロイヤルティを定量的に把握するために、世界中の企業で導入されています。
NPSの測定方法と計算式
NPSは、次のようなシンプルな質問によって測定されます。
「あなたはこの商品やサービスを、友人や同僚にどの程度すすめたいと思いますか?」
(0〜10点の11段階で回答)
このスコアに基づき、回答者は以下の3つのカテゴリに分類されます。
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推奨者(Promoters):9〜10点をつけた人
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中立者(Passives):7〜8点をつけた人
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批判者(Detractors):0〜6点をつけた人
計算方法はとてもシンプルです。
NPS = 推奨者の割合(%) − 批判者の割合(%)
たとえば、100人中60人が推奨者、20人が批判者だった場合、NPSは「60 – 20 = 40」となります。
NPSが使われる主なシーン
NPSは以下のようなシーンで活用されます。
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カスタマーサポート改善の指標として
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サービスリリースやキャンペーン施策の効果測定
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定期的な顧客満足度調査として
定点的に調査することで、サービス改善のヒントやブランドへの評価の変化が見えてきます。
BLS(ブランド・ロイヤルティ・スコア)との違い
NPSと混同されやすい指標として、BLS(Brand Loyalty Score)があります。
この2つの違いを理解しておくことで、適切な場面で使い分けができます。
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NPSは、「他人にすすめたいかどうか(推奨意向)」を測ります。一種の外向きな評価です。
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BLSは、「自分自身が今後も使い続けたいかどうか(継続意欲や愛着)」を測ります。これは内向きなロイヤルティの尺度です。
質問の切り口も異なります。
NPSは「すすめたいか?」という他者基準の問いかけですが、BLSは「今後も購入したいと思うか?」「このブランドを信頼しているか?」など、自身の行動意志を問う内容が中心です。
よくある質問(FAQ)
Q1. NPSスコアは何点以上が「良い」とされますか?
→ 一般的には0点を超えていればポジティブな評価とされます。+30を超えると高評価、+50以上は非常に優れた結果とみなされます。
Q2. NPSはBtoBでも活用できますか?
→ はい、特に決裁者との関係が重要なBtoBビジネスでも有効です。シンプルな設問で意思を測定できる点が評価されています。
Q3. 中立者の意見は分析しなくてもいいですか?
→ 計算には使われませんが、「どちらでもない」という意見には改善のヒントが多く含まれています。内容分析は重要です。
まとめ
NPSは、顧客がそのブランドを他者にすすめたいかどうかという視点でロイヤルティを数値化できるシンプルかつ強力な指標です。
一方で、BLSは自身の再購入意欲や信頼度を測る指標であり、より深いブランドへの愛着を表すものです。
両者を併用することで、「広く勧めたいと思われているか(NPS)」と「本当に好きで継続して使いたいと思われているか(BLS)」の両面を捉えることができ、マーケティング施策やブランド戦略に大きな示唆を与えてくれるでしょう。